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かつてはどこの家庭にもあった、くるくる巻いたカールコード付きの固定電話。いまやすっかり過去のものとなり、携帯電話に慣れた若い世代では、実物を見たことがない人も多い。ところがそんな固定電話に新たな魅力を感じる若者が、アメリカで増えているという。 【動画】 アメリカの若者に人気のレトロな電話の数々　など

自宅にない…消えゆく固定電話

固定電話は、若者にとってCD-ROM、カセットテープ、そしてベーシックなプリンターと同じ末路を辿る、時代遅れなものになりつつあるとガーディアン紙は述べる。いまや壁掛け電話を手に、掛け方に悩む子どもたちの様子を撮影した親の投稿がソーシャルメディアを賑わす時代で、町中にあった公衆電話もなくなって久しいとしている。 米国民健康聞き取り調査によれば、2022年7月から12月の間に、固定電話のない家庭に住んでいると回答した人は18歳以上で72.6％、17歳以下で81.9％だった。カリフォルニア州では、アメリカ最大手の電話会社AT&Tが固定電話の完全廃止を求めており、固定電話を「もはや必要のない歴史的奇物」と呼んでいる。

ノスタルジックかつ新鮮！ 知らない世代が夢中に

ところが、一部の若者たちが、固定電話のノスタルジックな魅力の虜になっているという。ニューヨーク州に住む24歳のインフルエンサー、ニコール・ランドーンさんもその一人で、80年代から90年代にかけて放送されたドラマ『フルハウス』の、双子のオルセン姉妹ブランドの電話を愛用している。 ランドーンさんの記憶の中には、子ども時代に両親が台所の壁に取り付けていた日焼けした固定電話が残っており、自分の部屋に同じような電話を持つ日をいつも想像していたという。ガーディアン紙に、「固定電話を持つことは、現実と子ども時代の空想とのギャップを埋めてくれる」と話している。また、インフルエンサーという立場上、常にオンラインであるため、固定電話は接続を断つうえで素晴らしいし、ほぼ逃避のようにも感じるとしている。 他の若者からは、「テキストを送るのではなく友達と話すこと、しかも移動せず一所にずっと座って話す新鮮さが好き」という固定電話時代を知らない世代ならではの意見があった。また見た目や使用感についても、「キュートでロマンチック」という感想だった。 発信者の番号通知機能がないため、古い固定電話の番号は気に入った人だけに限定して教えるという若者もいる。電話が鳴るたびにワクワクすると言い、カールしたコードをくるくる回しながら話すのがたまらないということだ。

2000年代初期を再発見！レトロテックが熱い

若者たちには、ハローキティなどのキャラクターものや、古いドラマで使われていた電話機の人気が高いという。ネットのオークションサイトやフリマサイト、またレトロな商品が見つかるアーバン・アウトフィッターズの店舗などが入手先だという。固定電話と言っても回線契約をせず、アダプターをBluetoothに接続して、携帯電話とペアリングすることで使えるようにしている。 ニューヨーク・ポスト紙によれば、2000年代初期のテクノロジーも人気で、ガラケー、デジカメ、iPodなども需要が高い。本来の使い方から外れている場合もあるが、レトロテックは若者たちの間で絶賛リバイバル中だ。