軽カーだけの熱い戦い「東北660耐久レース」に学ぶ、ドライバーの暑さ対策とは? すでに2025年シーズンの準備が始まっています!
速く走るために重要な暑さ対策
2024年7月14日にリンクサーキットで開催された東北660耐久レースの第2戦。シリーズでもっとも長い5時間で決勝が争われ、20を超えるチームが熱いバトルを繰り広げた。真夏のサーキットはクルマにも厳しいが、それを操るドライバーの負担も相当に大きい。レース日も朝から強烈な日差しが降り注ぎ、走行が始まるころの気温は30℃オーバー。5時間をノントラブルで走り抜くにはクルマだけではなく、ドライバーをクーリングすることも不可欠といえるのだ。来年の夏に備え、各チームが採用した熱対策を紹介してみよう。 【画像】勝利するために必要なドライバーの暑さ対策を見る(12枚)
マシン対策でドライバーの疲労を軽減
ほとんどの車両が使っていたのはウインドウネット。運転席の窓を開けて走るために必須のアイテムで、多くのメーカーからさまざまなカラーが発売されている。最初は視界を確保できるか不安に思うかもしれないが、ドアミラーの視認性にはまったく影響を及ぼさず、真横を目視しても見えにくいと感じたことは皆無だ。ただし自作やメーカー不明の格安品ではなく、レースで実績のある大手メーカーを選びたい。 車内に新鮮な空気を取り込むなら、汎用のエアダクトを引くのも有効。ホームセンターなどで売っている蛇腹のダクトを使用し、ドライバーに風を送るのは昔からの常套手段といっていい。ただし曲げがあまり多いと風が届きにくいので注意。また走行中に外れたりしないよう取り付けは確実に行おう。
自身の暑さ対策も有効な手段
続いてはドライバーの装備編。本格的なレーシングカーは室内の断熱材がすべて取り除かれており、水温を下げるためヒーター全開で走ることも珍しくない。8~12周のスプリントレースならまだしも、耐久レースとなれば1スティントが1時間、場合によってはさらに長いケースもあり得る。 そんなときにドライバーを脱水症状から守るのが給水システムで、多くのチームがホースとペットボトルを組み合わせて自作していた。手軽なのは登山用のハイドレーションを使う方法で、近年はペットボトルにそのまま装着するタイプもある。ホースが長いと吸い込みに時間がかかってしまい、さらにはステアリングなど操作のジャマになるので、適度に短くしておくのが使いこなすコツだ。 効果テキメンなのは最近メジャーになりつつあるクールスーツ。インナーウェアに縫い付けたホースを氷が入ったボックスに繋げ、冷たい水を循環させドライバーの体温を下げるというシステムで、昨今の猛暑で普及が進んでいる水冷服と同じと考えていいだろう。市販品も以前に比べればだいぶリーズナブルになり、ホースとクーラーボックスなどで自作するチームも多い。 そして暑さ対策が必要なのはドライバーだけに限らず、レースをサポートしてくれるピットクルーも同様だ。多くのチームが工業用の扇風機をピットで使い、またファンが付いたウエアもかなり有効だとか。長袖で日焼けの心配がないのも嬉しい。 * * * 過酷がゆえに完走したときの充実感は大きく、チームの結束力も強まる真夏の耐久レース。熱中症や脱水症状など危険な目に遭わないよう、紹介したそれぞれの対策を参考にしてみてほしい。
佐藤 圭(SATO Kei)
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