与謝野晶子が教える、夫婦円満の極意。「ただ相手の男を愛する」だけでは、恋愛の名に値しない
◆愛情は変化し進化する 人間の心は、感情においても理性においても、幼年から少年へ、少年から大人へと、次第に移ってゆきます。 数千年の間に文化生活を築きあげてきた人間は、少しずつよい方向へ行っているのだと思います。人間は進化するものです。 花の趣味にしても、食事や衣服の好みにしても、少年少女のときから一生の間に何度変わるかわかりません。 それでこそ、人間の生活には進歩があるのです。 自分の結婚生活をかえりみると、二十年間にどれほど多く愛情が変化してきたことだろうと思います。 最初のころの恋愛が続くわけではなく、夫婦で絶えず二人の愛情に新しい生気を吹き込み、壊しては立て直し、鍛え、深めるよう努力してきました。 毎日毎日、新たな愛の生活を築きあげる試みをしてきたのです。 「愛の創作」(『愛の創作』より)
◆夫婦は毎日が愛の創作 私たちは昨日の恋愛をそのままに静止させ、その上に塗りかためて、「永久不変の愛」というようなものに寄りかかっているのではありません。 常に二人の愛が進化し続けることを祈っているのです。 それでなければ、昨日の恋愛は心の化石であり、退屈と苦痛とを感じないではいられないでしょう。 私の実感に基づけば、「夫婦は毎日毎日愛の創作をしているのだ」と言いたいのです。 「愛の創作」(『愛の創作』より) ※本稿は、『与謝野晶子 愛と理性の言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
与謝野晶子,松村由利子