中国よりも日本で好調な ラグジュアリーブランド 売上。正常化が進む業界の「強み」となるか
ラグジュアリー業界の現在
それでも、一部のラグジュアリーブランドは中国での売上をなんとか維持している。エルメス(Hermes)は日本を除くアジア太平洋市場で収益を伸ばし、直近の四半期で14%増の19億2000万ユーロ(約3220億円)に跳ね上がった。プラダ(Prada)も、アジア太平洋市場での収益を前年比で16%増やした。 「一部のコングロマリットにとっては、中国はそれなりに好調だ」とラミレス氏は話す。「そうでないコングロマリットもあった。要は、ブランドと顧客がどれだけ強く結びついているかの違いだ。状況は入り混じっている」。 その入り混じった状況が、ラグジュアリー業界全体に反映されている。パンデミックの初期、つまり多くの買い物客がバッグや時計、その他ラグジュアリーアイテムを「リベンジ消費」していた頃に比べると、ラグジュアリーアイテムは現在、正常化の時期を迎えていると専門家は言う。 コンサルティング会社のマッキンゼー(McKinsey)によれば、ラグジュアリーカテゴリーは2023年に5%から7%成長したのに対し、2024年は3%から5%の成長が見込まれている。 コンサルティング会社カーニー(Kearney)のパートナーであるブライアン・エーリッグ氏は、ラグジュアリー分野で成功しているのはどのブランドかという観点でいえば、「結局のところ、価格決定力に行き着く」と米モダンリテールに語った。「好調だったように見えた昨年ですら、ほぼすべてのブランドでユニット量は減っていたと思う。成長は主に価格の上昇によるものだった。そして富裕層の消費者でさえも、価格に見合う価値を求めて、『このバッグやシューズにこれ以上お金を払うべきとは思えない』と考えるところまできたようだ」。 いくつかのファッションハウスは、この低迷を食い止めようと動き出している。タペストリーは85億ドル(約1兆3090億円)を投じたカプリ買収計画を巡って米国政府から訴訟を起こされているが、アウトレットストアにますます注力し、ニーズのある商品を定価で販売している。一方ケリングのビューティー部門は4月、ロレアル(L’Oréal)出身のアレクサンドル・シュエイリ氏を新たな南北米のプレジデント兼CEOに任命した。 またLVMHは後継者育成計画を進めており、会長はこの数週間に自身の子ども2人を取締役に任命した。 [原文:Japan is edging out China as a luxury hotspot] Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)
編集部