富士フイルム、DX逆行の「チェキ」 売上高1500億円前倒し達成
QRコード添付で広告効果
またチェキを利用する企業からは広告の観点からも効果が大きいと評判だ。チェキでは企業に関連するホームページやアンケートなどに誘導できるQRコードをプリントすることができる。QRコードを利用した特典などを組み合わせることで、高いアクセス率を実現できる。 例えば、サンリオピューロランド(東京都多摩市)で実施したチェキイベントでは、QRコードからアンケートに回答するとオリジナルのスマホの壁紙をダウンロードできるという特典を設けたところ、アンケート回答率は100%に達したという。 富士フイルムの寺横素コンシューマーイメージンググループマネージャーは「自分が写っている写真のため、特別な思い出の品としてより愛着が湧くことからアクセス率も高まりやすい。ただ配って終わりのノベルティではなく、企業とお客様のデジタルなつながりを構築できるツールとなっている」と話す。 ●アナログ商材でも業績けん引 これまでの若年層からの人気に加え、イベントでの知名度の高まりも重なり、チェキの売上高は好調に推移している。24年3月期には、本来25年3月期の目標だった売上高1500億円を1年前倒しで達成した。 ミラーレスなどを含めたイメージング事業としては、24年3月期の営業利益がヘルスケア事業を抜いてセグメント別最大となり、富士フイルムの業績への貢献度は高まっている。 人工知能(AI)の搭載により家電や精密機器、自動車などの分野でデジタル競争が加速するなか、チェキはまさに時流に逆行する存在だ。それでも、工夫次第でアナログ商材が企業の成長をけん引できることを示している。
濵野 航