米軍撤退後のニジェールに急接近 ロシアの思惑とは?
■迫るロシア。その狙いは?
ロシア軍がニジェールに駐留する理由についてウォルドーフ教授は、国際的な威信を高めることに加え、天然資源を確保する狙いがあると指摘する。ニジェールはアフリカ屈指のウランの生産量を誇り、ロシアはニジェールに眠る潤沢なウランを狙っている可能性があるという。 一方、ロシア軍を呼び込んだニジェール側の思惑については、「米国の援助には、人権の尊重を求められるが、そういった要求なしに、現地のテロリストを鎮め、安全保障支援などを得ようと考えている」と語る。 「しかし、隣国マリではロシアの民間軍事会社ワグネルが駐留した2021年以降、テロ発生率は約3倍に跳ね上がり、ロシアによる支援が機能しない可能性もある」と指摘する。 また、アフリカ戦略研究センターのシーグル所長は、「ニジェールもロシアも、純粋に政治的な自己利益が目的だ」としてお互いの利害が一致したことをあげた。
■米軍撤退で増すロシアの存在感
米軍の撤退が与える影響についてウォルドーフ教授は「アフリカの一部(ニジェールなどを含む地域)で米軍が影響力を失いつつある」「テロ対策の失敗や、ニジェールの腐敗した政権との協力は、現地の市民から恨みを買っている。軍事政権が、権力を保持するために、ロシアとの関係の強化を試みていることから、ロシアの存在感が増していく」と分析する。 ロシアの影響力が高まることについて、アメリカ国防総省の関係者は、「望ましくない」としつつも、「我々はガーナやコートジボワールなど、ニジェールの周辺諸国と軍事面での連携を取っており、同地域の安全保障は揺るがない」と強調した。 シーグル所長は、「米軍の撤退はニジェールの不安定化を助長し、同地域の暴力的なイスラム過激主義者の脅威を増大させる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。 ロシアの動向と合わせて、地域情勢にどのような変化がもたらされるかが焦点となる。