マイナス金利なのに、なぜ住宅ローン金利が引き上げになるの?
大手銀行は3月31日に4月適用分の住宅ローン金利の一部を引き上げると発表しました。 三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行は10年固定型で最優遇金利を0.10%引き上げて年0.90%、みずほ銀行とりそな銀行は0.05%上げて年0.85%としました。
黒田日銀総裁の読みは間違っていたのか?
日本銀行は1月29日の金融政策決定会合において「マイナス金利付き量的・質的緩和」を決定しました。日銀当座預金の一部へのマイナス0.1%の適用は2月16日にスタートしたのですが、その翌々日の18日の参院財政金融委員会に出席した黒田日銀総裁は、マイナス金利を導入している欧州では金融機関がコスト転嫁のため住宅ローンの金利を引き上げる動きがあるが、日本では「住宅ローン金利の引き上げが起きることはなかなか考えられない」と述べています(日経新聞)。 ところが、今回4月の住宅ローン金利の一部が引き上げられました。これは黒田日銀総裁の見方が間違っていたということなのでしょうか。
長期金利は日銀が決めてるのではない!?
住宅ローン金利の10年固定型は長期金利と呼ばれる10年国債の利回りによって決まります。長期金利そのものは日銀が決めるのではなく、市場に委ねられているのです。 その長期金利、つまり10年国債の利回りは3月18日にマイナス0.135%にまで低下し、ここがいったんボトムとなりました。これ以降の長期金利は、比較的落ち着いた動きとなっていました。つまりそれまで低下し続けていた動きがいったん止まったとも言えます。 大手銀行が今回、10年固定型の金利を上げたのは、長期金利の低下が一服したことが要因ではないかと予想されます。今回の住宅ローン金利の引き上げについては、金融機関がコスト転嫁のため住宅ローンの金利を引き上げる動きというよりも、このような長期金利の動きを確認した上での結論ではなかったかと思われます。 これは、超長期ゾーンの利回り低下が3月末にむけてさらに進んだことで、みずほ銀行などでは、10年固定は引き上げても、15年を超える固定型の住宅ローン金利は逆に引き下げていたことからも明らかです。