豪華弁当に敗北した帰りの新幹線 売店は行列で酒が買えず…友にもらったビール1缶ではご馳走を持て余すことに
【久住昌之 するりベント酒】 山口県山口市で行われたイベントに「孤独のグルメ」の音楽制作バンド・スクリーントーンズで参加演奏してきた。 前夜に山口に来て、ライヴは翌日昼。終わって当日帰京。楽屋に出た弁当を、帰りの新幹線でベント酒することにした。 しかし、余裕ぶっこいていて、気がつきゃ新幹線ギリギリ。自販機でミネラルウォーターを買って飛び乗る。本当は山口の地酒でも買いたかったが、売店には行列で、買ってたら間に合わないので断念。 東京までビールの一本も無しか、と寂しい思いでいたら、別の車両に乗っていたバンドのメンバーが、「これ、飲みますか?」と観客にもらったという缶ビールを一本持ってきてくれた。わお。感動。持つべきものは友である。しかも冷えてる。つまみは弁当があるし、これでもう鬼に金棒。 もったいぶらず、さっそくプシュッと開ける。グビグビっと飲む。あー、最高。 さて弁当を開けた。 わお。わおわお。ワオキツネザルになりそうな、この豪華さ。これは高そうだぞ。 正方形の弁当箱が9マスに分けられ、それぞれに御馳走が詰まっている。料理数多し! ひと目見て「御馳走」と口走ったのは、中央にローストビーフ、その下に鰻の蒲焼きが見えたからである。錦糸卵も華やかさを際立たせている。 エビチリ的なもののオレンジ色もいい。牛肉的なものも目に入ってくる。煮物、鶏唐揚げ、酢の物…。 これをちまちまつついていたら、名古屋ぐらいまでは楽しめそうだ。そしてちょいと寝りゃもう東京だ。これはいいぞ。 さてどこから手をつけるか。俺は俺から見て前列手前の鰻一切れからいったね。 ご飯抜きに鰻のみ一切れ食べる。お、蒲焼きだ。でもなかなか硬い。ふわっとは全然してない。でもいい。おいしい。気分が鰻。心が鰻。上機嫌。幸先がいいぞ。 次は何を食べよう。牛か。牛丼の上みたいな肉。紅生姜が入ってる。下にごはんは無い。肉のみ。食べる。柔らかい。うーん、これはぎゅうだ。甘め。それもいい。グリーンピースは隣の枡から転がり込んだものだろう。鰻のコマにも侵入してる。それもまた面白い。 エビチリ食べた。これは微妙。揚げたエビを甘辛いチリソースで包んでいる。衣が厚く、エビ感は少ない。ソースを食べている感じ。マズくはない。