「30センチ以上必要なのに…厚さたった3センチ」“空洞だらけ”トンネル施工不良 抜本的原因は「技術者の倫理観の欠如」和歌山県が調査報告書を公表 2年かけたのに工事やり直し 開通は来年12月見込み
和歌山県に建設中のトンネルでコンクリートの厚さが足りず空洞になっていた問題で、県は「現場所長など技術者の倫理観の欠如が施工不良を発生させた抜本的原因」とする調査報告書を公開しました。 【画像を見る】コンクリートはがしてみると…隙間が見えたトンネル おととし、和歌山県にある那智勝浦町と串本町を結ぶ「八郎山トンネル」で、天井部分に空洞が見つかりました。本来、コンクリートの厚さは30センチ以上必要ですが、最も薄いところでわずか3センチしかありませんでした。 工事は和歌山市の建設会社が施工を担当、県は有識者らによる「技術検討委員会」を設置し、原因などを調べていましたが、12日に調査報告書を公表、「施工業者の現場所長など技術者の倫理観の欠如」が施工不良を発生させた抜本的原因と結論付けました。
施工不良認識も「今更どうすることもできない」と工事を継続
報告書によりますと、コンクリートの厚さが不足するなど施工不良を認識しながらも『今更どうすることもできない』などと現場所長らが認識し作業を継続していたということです。 また、施工業者は現場所長を工事のエキスパートとして考え、任せきりになっていた実態もあったということです。 一方で工事を監督する和歌山県も担当職員が工事の監督業務が初めてで、別職員がフォローするなど組織としての体制が不十分であったとも言及されています。 県は今後、工事の途中段階での確認が行われるよう組織体制の強化を進めるなどして、再発防止につとめるとしています。
工事は全面やり直し…開通は予定から約2年遅れ
また、県は施工業者に対して、延滞金などの損害賠償の請求を検討しているということです。 トンネル工事は全面的なやり直しが決まり、去年12月からコンクリートをはがす工事が行われています。工事の完了は来年12月の見込みで、本来の開通時期から約2年遅れになるということです。