背景にあの巨匠も? 『タイガーセブン』『風雲ライオン丸』はなぜ特撮のお約束を破ったのか
お約束を破ったヒーローへの非難
『ウルトラマン』や『仮面ライダー』は、戦闘のなかに子供がいても、巻き添えにならない暗黙のルールがありますが、『風雲ライオン丸』や『鉄人タイガーセブン』の場合、子供も戦闘に巻き込まれて大怪我をしたり、悲惨な最期を遂げたりしています。 また「ヒーローはけして悪との戦いから逃げない」というルールも破り、ライオン丸やタイガーセブンは、戦いに嫌気がさして途中で戦線離脱しています。 ほかにも『風雲』では、長年父を探すために旅をしていたヒロイン「志乃」と弟「三吉」の父が敵に寝返り、敵組織の幹部になっていたという『スター・ウォーズ』における「ダース・ベイダー」に先駆けたような、ハードな展開もありました。 最大のルール破りは、『鉄人タイガーセブン』の第19話「タイガーセブンの唄が聞える」です。これまでの変身ヒーローの主人公は、敵が現れたときに変身するため、姿を消しますが、それを周りの人は誰も気にしないというのがお約束でした。 しかし、タイガーセブンに変身する主人公「滝川剛」は敵が現れた際に、必ず姿を消しているため、「高井戸グループ」メンバーの「北川」から自分の命惜しさに敵前逃亡をしていると責められます。剛はタイガーセブンの正体が自分とは言えないので、黙って耐えるしかありませんでした。 『風雲』『タイガーセブン』での高際、大塚コンビのラスト数話は、変身ヒーローの予定調和をかなぐり捨てた内容で、特撮ドラマ史に刻まれています。
LUIS FIELD