『勇気爆発バーンブレイバーン』第1話から見返すしかない! リアルタイム視聴必至の急展開
突如として地球に飛来し、圧倒的な戦力と容赦ない攻撃で世界各国を蹂躙する謎の侵略者「デスドライヴズ」。ハワイでの環太平洋合同演習に参加していた各国の軍隊もその攻撃に晒されるが、その窮地を救ったのは突如現れた謎のスーパーロボット「ブレイバーン」だった。ブレイバーンに何故か異様に気に入られ、不本意ながらもパイロットとなった自衛官イサミ・アオは、残された仲間たちと共に世界を救うための戦いに挑む……。 【写真】改めて見ると印象が変わる『勇気爆発バーンブレイバーン』メインビジュアル 先の読めないストーリー展開とスーパーロボットとリアル系人型兵器&現用兵器が互いの長所を活かして戦うバトル描写、そして主人公イサミ・アオに異様な執着を見せる主役ロボ・ブレイバーンの強烈なキャラクターで、放映スタート以来アニメファンの注目を集めている『勇気爆発バーンブレイバーン』。クライマックスへと向かうシリーズ中盤戦となった第8話「また会おう、スミス」と第9話「イサミィ!俺たちで、世界を救うんだ!!」の前後編で、これまでのストーリーをすべてひっくり返すような急展開を迎え、放送直後のSNSなどではいつも以上に大きな盛り上がりとなった。
※以下、第9話のネタバレに触れているので、未見の人はぜひ本編を観てから読んでください!
東京を蹂躙していたデスドライヴズのクピリダスを撃破し、日本の救出奪還作戦「オペレーション・アップライジング」を成功させたブレイバーンと多国籍部隊ATF(Allied Task Force)は、次の目標であるヨーロッパ方面の奪還に動き出す。新たな機体・XM3 ライジング・オルトスを得て、ブレイバーンの支援部隊・ブレイブナイツのリーダーとなったルイス・スミスは、イサミとブレイバーンと共に世界を救う決意を新たにするが、ブレイバーンが自分たちの求める「理想の死を与えてくれる」と知ったデスドライヴズが、一挙に三体も日本に出現する。 迎撃に向かったブレイバーンとATFだったが、スミスの前に快楽の果ての死を求めるデスドライヴズ、クーヌスが現れる。彼の内に秘めた感情の強さに惹かれたとスミスに執着するクーヌスの時空を操る猛攻に、窮地に陥るブレイブナイツ。そしてスミスは捨て身の攻撃を仕掛けてクーヌスと相討ちとなり、両者の姿は戦場から消失する。スミスの死を知ったイサミは怒りの感情に飲み込まれ、デスドライヴズのヴァニタス&ペシミズムの二体を相手に絶体絶命のピンチに追い込まれた。 スミスは魂だけの存在となって、謎の空間でクーヌスと対峙していた。共に死を迎えようとスミスを誘うクーヌスだったが、イサミと共に世界を救うためにまだ死にたくないというスミスの強い思いがクーヌスをも飲み込む。そして再び目覚めたスミスは、自分が追い求めたヒーロー……ブレイバーンとなって、デスドライヴズがハワイ襲撃し始めた過去(第1話)に戻っていたことに気付く。そして戦場でピンチに陥っていたイサミの前に降り立った……「待たせたな、イサミ!」の言葉と共に。 放送開始時から様々な考察が飛び交っていた「ブレイバーンの正体」。中には「デスドライヴズの襲撃自体がヒーローとして死にたいブレイバーンの自作自演では?」といったものまであったが、イサミのバディであるスミスが転生した姿だったことを踏まえてこれまでの話を見返すと、ブレイバーンの言動や話の印象が一変する。偏執的な謎のロボットが見せるコメディ的なシーンの数々が、実は「タイムループSF」としての真相を隠す巧みなミスリードだったのだ。 それがもっとも巧みに描かれているのが、第2話&第6話でのデスドライヴズのスペルビアとの絡みだ。初めての戦闘で「やるじゃないかスペルビア」「変わらないなあ、お前は」と語りかけ、それに「ガガピー」と応えるスペルビア……放送時には「デスドライヴズとブレイバーンは知り合い? 仲間?」と受け取れるシーンだったが、第6話で会話が可能になるとスペルビアはブレイバーンの名前を知らず、むしろ彼が自分の名前を知っていたことに驚いている。おそらく第2話でも驚いていたのだろうが、その時は言葉をしゃべれなかったので視聴者もまんまとミスリードに引っかかったわけだ。 ブレイバーンがスペルビアの名前を知っていたのは、まだルイス・スミスだった頃に乗り込んで共に戦おうとしたり、ルルを巡って話を交わした時などの記憶があるからこそ。そしてスペルビアが味方になる可能性があると知っていたので、第6話で彼との会話を可能にして無駄な戦いを避ける流れに持ち込んだのだ。 ブレイバーンがスミスだったことを踏まえて見返すと、第2話では他にも様々な発見がある。イサミ抜きで戦うブレイバーンではスピリダスに歯が立たず、軍の通信で「イサミー!」と泣き言を叫び出すシーンがあったが、この時のスミスは敵との内通を疑われて拷問を受けているイサミを助け出そうとしていた。イサミの窮地と立場の危うさを知っていたからこそ、ブレイバーンになったスミスはジャストタイミングで「イサミがいないと戦えない」ことを過剰にアピールして、イサミを守ろうとしていたのだ。 そしてブレイバーンに乗ることを拒むイサミに変わって、自分が乗って戦うと申し出るスミスに「生理的に無理」と断る名シーンも、ブレイバーン=スミスということがわかると自分に過去の自分が乗るのは何かイヤだろうなと納得できるし、または何らかのタイムパラドックスが起きることを恐れていた可能性もある。「俺」ではなく「私」と言い直したり、やたらと「ブレイバーン!」と叫んでいたのも、自分の正体がバレることで第9話で描かれた自分がブレイバーンになる未来が変わらないように自分を押し殺していたのかもしれない。 他にもルルがブレイバーンを「スミス」と呼んでいたのは正体を見抜いていたからだとか、融合した影響なのかブレイバーンがイサミとの繋がりを語る時の気持ち悪い言い回しが第8~9話のクーヌスにそっくりであること、そしてブレイバーンの外見にスミスが大好きなヒーロー『機攻特警スパルカイザー』のデザインが取り込まれていることなど、様々なシーンに隠されていたブレイバーン=スミスの伏線が見えてくる。特に第8話ではブレイバーン誕生のためにあえてスミス(自分)を死地に送り出す葛藤もかいま見えるので、もう一度第1話から見返すと新たな楽しみ方ができるはずだ。 第10話からいよいよシリーズもクライマックスに突入するが、まだまだ謎は残されている。スミスの死が引き鉄になったかのように急に精神が成長し、ブレイバーンとの再戦を望むスペルビアに乗り込もうとするルルはいかなる存在なのか? そして「このタイムループはどこから始まったのか?」という新たな謎も浮かび上がってくる。ひょっとするとブレイバーンが現れずに一度地球が滅びた時間軸も存在していたり、何度かループを繰り返しながらデスドライブズを攻略しているのではないか? 令和の新たなロボットアニメの形を見せながら盛り上がり続ける『勇気爆発バーンブレイバーン』。いったいどんな結末を迎えるのか、ぜひリアルタイムで見届けてほしい。
石黒直樹