井上尚弥の防衛戦 ―刺客はサウスポーの「The Power」
左の拳の強さ
ドヘニーの戦闘スタイルは、攻撃のチャンスをうかがってじりじりと圧力をかけるサウスポー。とくに左のパンチには力がこもっており、これで数々のノックアウトを演出してきた。異名はずばり「The Power」と迫力十分である。 昨年10月、後楽園ホールで11戦全勝のジャフェスリー・ラミド(アメリカ)を砕いた一撃は強烈だった。ラミドといえば井上のスパーリング・パートナーとして知られ、岩佐を引退に追い込むなど、将来のチャンピオン候補だった。そんなホープを狙いすましたワンパンチで初回TKOし、ベテランの恐ろしさをまざまざと見せつけた。 実際、このラミド戦が日本のファンに与えたインパクトは強く、井上と戦っても「おもしろい試合が見れるのではないか」と思わせるのである。 また対戦相手がパンチング・パワーと同様に注意すべきは不屈の精神力、アイリッシュ魂だろう。世界タイトルを失ったのが32歳のドヘニーは、そこでやめても不思議ではなかったが、再びチャンピオンの座を目指して戻った。しかもその道のりは前述の通り平坦なものではなかったのに、自らの拳でキャリア最大のチャンスをつかみ取った。この点は要警戒に思える。 井上はドヘニーについてこう語っている。 「ここ最近、いい試合をしているし、気の抜けない相手」 ドヘニーの一発の威力を警戒するとして、「一発も触れさせないボクシングをしたい」。予想となると、やはりモンスター井上の防衛だろうが……。
VictorySportsNews編集部