中学時代は全くの無名 200センチ右腕・菊地ハルン(千葉学芸)、NPB12球団にMLBも視察する剛腕は「可能性∞の超逸材」!!
監督が立てた「3年計画」
高倉監督は菊地が3年夏にピークを迎えられるように計画を立てた。 「預かるからには、計画性を持って育てることが必要だと考えました。1年生のときから多少投げさせましたが、まずは体作り。下級生のときは投げるイニングも制限しながら、故障に気をつけてきました。目先の勝利のためにこだわった小手先の投球術ではなく、最初はストレートとカーブのみにして、徐々に投げる球種を増やしていきました。 それに加えピッチングを覚えさせました。牽制、フィールディング、投球の間合いなども1つ1つ教えてきました。 彼に対しては勝った、負けたを重視せず、課題をクリアできたのか、どれだけ良いボールを投げられたのかといった内容を大事にしてきましたね」 菊地も入学当初の日々を振り返る。 「練習についていくことに精一杯でした。当時は走り方すら知らなかった。ドタドタとした走りだったと思います。専属トレーナーの方に走り方を教えてもらうことで、1年生の冬、足をしっかりと動かす走り方ができるようになったんです。そうすると足の力が投球にも伝えられるようになって、球速も上がってきました」 入学当時は身長198センチで、体重は100キロ以上もあった。こうした走り込みで脂肪を落とし、80キロ後半まで減量した。減量後は、ウエイトトレーニングや睡眠をしっかりとる生活を続け、筋肉を大幅に増やした。 球速が目に見えて速くなるにつれ、練習に対するモチベーションも高まってきた。 「最初は『大学で続けられればいいかなと』くらいだったのですが、徐々に『プロに行きたい』という目標ができました。そこから練習の取り組み方も変わりました。今では投球を極める楽しさも感じています」
球速面で大きく成長も、調子の波を小さくすることが課題
意識が高まったことで、投手出身の高倉監督の指導を吸収できる素地ができ上がった。菊地は真っ直ぐを投げてもスライドしてしまう「真っスラ」の球質になる癖があったため、投球フォームを見直した。 「投球の際に体が開く癖があり、コントロールが定まらないのが課題でした。監督さんのアドバイスをもらいながら、自分なりに投球練習をしながら、研究して、固めていきました」(菊地) 着実に成長を続ける菊池は、2年秋の練習試合で148キロを計測。3年春には、変化球を“解禁”、カットボール、フォークをマスターした。 フォークボールは持ち前の指の長さを活かして、深く挟んでシンカー気味に落とす。右打者、左打者にも使って、三振を奪っている。好調なときは130キロを超えるときもあるという。 カットボールは直球と同じ握りで、指先に力を入れて離して投げる。下級生のときはカーブが得意だったが、今ではフォークを自ら「魔球」と呼ぶほど自信を持っている。 とはいえ菊地にはまだまだ課題はある。 春先、二松学舎大附など強豪校との練習試合でも好投。春季千葉県大会2回戦の千葉敬愛戦では公式戦初となる2失点完投勝利を収め、チームの夏のシード入りに貢献した。 一方で5月11日にはセンバツ出場校・学法石川との練習試合では6回途中7失点と打ち込まれた。高倉監督は「良いときは本当に打たれないんですが……。スカウトの方から好不調の波を小さくすることが課題といわれています」と語る。
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