スカート・澤部渡×グソクムズ・たなかえいぞを “シティポップ”を読み解く 澤部「本来は“郊外の音楽”なんじゃないかなと思っている節があって」
◆シティポップは郊外から見える都会の音楽?
澤部:いろいろ考えていたなかの1つとして、シティポップというのは本来“郊外の音楽”なんじゃないかなと思っている節があって。ユーミンだったら八王子だし、達郎さんは練馬あたりの風景だし、そういうところから都市を見る眼差しがシティポップになり得るんじゃないかと思っていた時期があったんです。 そういう流れのなかにceroとかもわりと中央線の音楽だし、その先に武蔵野のグソクムズが出てきたのは、自分にとってはわりと象徴的だったんですよね。 たなか:嬉しいです。 澤部:生まれた場所で音楽が変わったような感覚ってあります? たなか:育ってきた環境(による音楽への影響)はあると思いますね。吉祥寺が地元というのもあって、いい田舎感もあれば都会っぽいところもあります。都会を見るというよりかは、都会のなかにいる感じ。そこが故郷なのでしょうがないというところはありますけども、そういうマインドはあるかもしれないですね。 澤部:やっぱりそういう目線で街とか暮らしを描いてきたわけですもんね。 たなか:故郷って感じです。 澤部:では、吉祥寺という街がグソクムズに与えた影響ははかり知れない? たなか:出身は僕だけなんですけど、今でもスタジオは吉祥寺ですし、けっこう影響は大きいと思いますね。
◆メジャーアルバム制作で意識したポイント
澤部:先月リリースされたメジャーデビューアルバム『ハロー!グッドモーニング!』のお話をしていきたいと思います。アルバムとして最高だったという話を先週しましたけども、アルバム最後の曲「ハロー!君といる」がフェードアウトで終わるのが最高だったんですね。そこでもう1回CDが頭に戻ったとき、エンディングの感じで1曲目の「シグナル」が始まるじゃないですか。あれがめちゃくちゃ気持ちいいなと思いました。 たなか:ありがとうございます! 澤部:最初聴いたときは最初の部分って気にならなかったんです。音がイントロダクションみたいな感じで鳴りますけど、あれが最後の曲の演奏パートだったんですよね? たなか:そうですね。最後と繋がるっていうのをやりたくて。 澤部:あれはカッコよかったです。やはりアルバムということに相当意識をされたのでしょうか? たなか:はい。前回の『陽気な休日』というアルバムは、けっこうバラエティに富んだ作品で面白かったんですけど、アルバム1つで1つの作品だというコンセプトでできなかったねという話があったんです。今回は1つの作品にしようとみんなで決めて作りました。ストーリーチックにしたかったというか。 澤部:制作されるにあたってコンセプトもあったのですか? たなか:特にコンセプトはなかったんですけど、音でストーリーを作りたい気持ちがありました。 澤部:だからこそ、「コネクション」みたいな曲も入ってくるとグッときますよね。あと、「ため息の逃げ場」もすごく好きです。終盤にああいうアコースティックなものが入ると、やっぱりグッときますね(笑)。