年2回開催、会場探しも大難航…『ブギウギ』笠置シヅ子が出ていた頃の『紅白』はどんな感じだったのか
「体が太ってしまい、歌って踊るのに無理がありませんから」笠置シヅ子、最後の『紅白』…美空ひばりの時代へ
ところが人気スター、笠置は翌第5回、さらに6回と出演していないのだ。 これはのちに笠置が「紅白の思い出」を語ったときのインタビューで明らかになっている。「一度は歯の治療をしたこと。もうひとつは民放に出ることになって、そのことでえらいモメたことがありましたがな…」。 昭和30(’55)年、ラジオ東京(現TBS)が、『紅白』の裏番組として『紅白』の内容をすっかり真似て『オールスター歌合戦』を放送した。TBS側には笠置だけではなく淡谷のり子、美空ひばり、島倉千代子、コロムビア・ローズ、男性も高田浩吉、霧島昇、春日八郎、鶴田浩二ら人気スターが出演。NHKとの掛け持ち出演を禁じたのである。 翌年も『オールスター~』は行われたのだが、笠置、今度はNHK側に出演、第7回大みそかは『紅白』で『ヘイヘイ・ブギ』を歌って再び紅組のトリを飾る。 ところがその翌年、笠置は歌手を引退するのである。理由は「体が太ってしまい、歌って踊るのに無理がありませんから」。女王の地位をかなぐり捨て、シズ子をシヅ子として女優の道を進むことになるのだ。 歌謡界はこれまでの笠置時代から、笠置のモノマネで出てきた美空ひばり時代へと変わり、『紅白』のトリもひばりへとバトンが渡ったのだ。 笠置のモノマネといえば、最近はあの「ミラクルひかる」だが、正月2日に私が構成司会でBSテレ東昼12時から夜12時まで届ける『新春12時間歌謡祭』は、ミラクルの『東京ブギ~』からスタートする。中村美律子『大阪ブギウギ』、川中美幸『買物ブギー』と続き、あのテレビ開始の頃の歌がたくさん流れる。これも是非お楽しみに。 文:合田道人 1979年、高校在学中に渡辺プロダクションから、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。その後、音楽番組の構成演出、司会、CD監修解説に加え、新聞、雑誌での執筆、作詩作曲、ラジオDJなど多方面で異才を発揮する。著書に『童謡の謎』『神社の謎』『昭和歌謡の謎』(祥伝社) 『怪物番組紅白歌合戦の真実』(幻冬舎)などがあり、現在『歳時記を歌った童謡の謎』(笠間書院)もヒット中。理事長を務める日本歌手協会の番組『新春12時間歌謡祭』が1月2日昼12時から24時までBSテレ東で放送される。
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