じつは多くの人が知らない、「日米同盟」の真実の等式…アメリカが描いたあまりにも恐ろしい「究極のシナリオ」
アメリカによる支配はなぜつづくのか? 第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは? 累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む! 【写真】なぜ「日本の戦後」だけがいつまでも続くのか?…日本の「末期的状況」とは 本記事では、〈なぜ日本は「法治国家崩壊状態」になってしまったのか? …主権国家の指導者として絶対にやってはならない「致命的な罪」〉「日米同盟」の真実の等式などについて、くわしくみていきます。 ※本記事は2018年に刊行された矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』から抜粋・編集したものです。
「日米同盟」の真実の等式
これまで日本の絶対的主流派である安保村の条文解釈では、安保改定によって、 ---------- 〔アメリカ〕集団的自衛権 + 日本の防衛〔新安保条約・第5条に基づく〕 =〔日本〕 個別的自衛権 + 基地の提供〔新安保条約・第6条に基づく〕 ---------- という「人と物の交換」の関係が成立し、「アメリカによる日本の防衛義務」が確立されたとなっていましたが、よく考えるとそんなバカな話は絶対にありません。 基地の提供というのは基本的に金銭で換算可能な話ですから、それと引き換えにアメリカの若者が、血を流して他国を防衛することなど義務づけられるはずがないのです。 正しくはキッシンジャーが述べているように、 「日米同盟においては、われわれが日本に核の保護をあたえる代わりに、日本はわれわれが基地を使えるようにしなければならない」(1972年8月ニクソン大統領への覚書) ということ。つまり、新安保条約における日米の本当の関係は、 ---------- 〔アメリカ〕個別的自衛権 + 核の傘(拡大抑止)の提供 =〔日本〕 個別的自衛権 + 基地の提供 ---------- という関係だったのです(→なぜアメリカ側も、集団的自衛権ではなく個別的自衛権であるかについては『知ってはいけない』227ページ)。 そしてこの式から、「個別的自衛権」という一種の自然権を相殺すれば、前のキッシンジャーの言葉にあるように、1972年時点の日米の本当の関係は、 ---------- 〔日本〕 基地の提供 =〔アメリカ〕核の傘(拡大抑止)の提供 ---------- であり、さらに現在はここまでご説明してきたとおり、 ---------- 〔日本〕 米軍の指揮のもとでのあらゆる戦争協力(基地権+指揮権の提供)と、巨額の武器の購入 =〔アメリカ〕核の傘(拡大抑止)の提供 ---------- という、まったくバカげた関係になっているのです。 というのもアメリカの「核の傘」の実態は、昨年の米朝・核ミサイル危機をみてもわかる通り、本当に守っているのはアメリカ本国だけ。日本や韓国を守るために、アメリカが実際に核を撃つと考えている人など、いまではどこにも存在しません。 しかも、よく考えてみるとアメリカが日本に「核の傘を差しかける」ために、特別にかかるコストはゼロなのです。にもかかわらずその見返りとして、旧安保時代は日本の国土の軍事利用が全面的に認められ、さらに新安保時代になると、それに加えて自衛隊の軍事利用計画と巨額の兵器購入計画までが、着々と進行しつつあるのです。