6年生夏休み明けの中学受験「勉強嫌いな息子」の「MRI事件」の皮肉な顛末
「勉強しないのに頑として中学受験をすると言う反抗期息子にホトホト疲れる」 「どのご家庭も中学受験が、当たり前の感じだった。そして、勉強しない、という話題になった……」 【マンガ】受験生以外にも響く!中学受験を舞台とした『二月の勝者』12の名言 SNSには、このような「中学受験をするというのに勉強しない」という親の声がよく投稿される。睡眠を削ってまでも勉強しなければ合格できない学校は果たして適している学校なのか? という問題は別のものとしても、目指す学校に挑むために勉強をすることは受験の大きな意味でもあるだろう。 では、勉強しないのに中学受験をすると決めた家庭はどのように苦労しているのか。 「勉強嫌いの息子の中学受験は、完全に親のエゴでした。でも最後に『中学受験をしてよかった』という息子の言葉を聞いてホッとしています」 こう語るのは、森将人さん。慶應義塾大学を卒業した元大手証券ディーラーだ。 ではどのように「親のエゴ」と感じたのか。そして子どもとどのようにコミュニケーションを取り、「やってよかった」という言葉が出てきたのか。 少子化ながら中学受験者数の数が増え続けている今、森さんが率直につづる連載第3回は、6年生の夏休み明けのある「事件」をお伝えする。
小6でも「勉強をやらされている」意識
中学受験のやる気スイッチは、どこで切り替わるのだろうか。 志望する学校に行きたいというゴールが共有できていれば、長時間の勉強も苦にならないだろう。わが家の中学受験生、孝多(仮名)の問題は、勉強を自分の目標として受け止められず、やらされているという意識から抜けきれないところにあった。 やる気スイッチをオンにしようにも、どこから押せばいいかわからない。一方でオフになるのは一瞬で、孝多が敏感に反応するのは「勉強しなさい」という言葉だった。 勉強しなければいけないのはわかっているのに、いざいわれるとやる気がなくなってしまう。わかってるよ。何かいわれるたびに嫌な顔をするが、親としては心配で仕方ないので、つい口をはさみたくなってしまう。 親が家でどこまで口を出すかは、むずかしい問題だ。塾の先生には、勉強について細かくいわないように注意されていたが、孝多の場合、いわなければ何もしない。スケジュール管理程度でいいというが、いつやるか、何をやるかという問いかけがトラブルの種になる。 勉強嫌いというのは生理的な次元の問題でもあるのか、勉強しようとすると尻がかゆくてたまらなくなることもあった。妻に薬を塗ってもらうも、かゆみが気になって勉強に集中できない。 「試験中にかゆくなっても、時計は止めてくれないぞ」 「わかってるよ」