「デサント」“熱”と“蒸れ”を解消する独自機能 最上位スポーツウエアに採用
これらの製品化を可能にしたのが、「DISC 大阪」の最新設備だ。同拠点ではアイデアをすぐにサンプル化するため、量産工場と同じスペックの機器を持ち、約50人のパタンナーが所属する。さらには全天候に対応する100mトラックや、人の動作を測定するシステム、マイナス30度から60度まで温度と湿度をコントロールできる部屋、人のように汗をかくサーマル発汗マネキンなど、さまざまな機能を検証する設備が整う。“プロ”の新作にもこれらを駆使しており、例えば“スキーマテック エアロ”は、ウエアのヨーク部分にモーションセンサーをつけて、スタッフによる走行データを分析し、より開閉しやすいパターンを追求。さらには気温30度、湿度40度の環境で、発汗サーマルマネキンにウエアを着せて腕振り運動を行い、一般的なポリエステル100%の吸汗速乾素材と比べて湿度を約20%減少させる実証結果を得た。「社内で立てた仮説をサンプルにし、性能を検証するまでの一連の工程を施設で完結できる。商品開発のスピードとボリュームと質の向上につながっている」(開発担当者)。
価格は、“スキーマテック ソーラーブロック”がフーディー3万5200円、Tシャツ1万8700円、パンツ2万4200円、ショーツ1万8700円、“スキーマテック エアロ”がTシャツ2万6400円、長袖Tシャツ3万800円、ショーツ2万2000円、ノースリーブシャツ1万9800円。スポーツウエアとしてはかなり高価な部類だが、開発背景を知ると価格設定にも納得できる。
「デサント」は既存直営店のリニューアルを実施し、店頭でサイネージやポップを使ってブランドの背景を伝える取り組みを強化している。開発現場を知らないユーザーに商品の背景をどこまで伝えられるかが、売れ行きを左右するだろう。