沖縄県知事選 20代の選対関係者に聞いた沖縄の現在(下) ── キャスター・我那覇真子さん
沖縄知事選挙は16日に投開票が行なわれ、無所属新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)=共産・生活・社民の各党が推薦=が、自民党と次世代の党が推薦した現職の仲井真弘多氏(75)を破った。しかし、“本土”にいると、基地をはじめとした争点は、抽象的に伝えられがちだ。「沖縄の現在」について、地元の若者は何を思い、どう感じたのだろうか? 両陣営の選挙に携わった20代の若者2人に話を聞いた。(河野嘉誠)
沖縄から日本を変える 25歳の決意
なかいま弘多後援会で広報を担当した我那覇真子さん(25)は、普天間飛行場の移設先とされる辺野古がある名護市の出身だ。地元の高校を卒業後、東京の早稲田大学に進学。海外の大学院への進学を考えていたが、卒業直前になって進路を変更した。Uターンした理由は沖縄が好きだからかと聞くと、我那覇さんは頷きつつもこう応えた。「私にとっての沖縄は日々の生活の忙しさを忘れられる南の島というようなよくあるイメージとは違う。近しい親類にはひめゆり部隊で亡くなった人もおり、国のために頑張るということを他人事ではないと感じる。そういう意識を持てる環境にある人は少ないので、大事にしていこうと思った」 名護に帰った当初は子供たちに英語を教えたり、ダンスフィットネスのインストラクターをしていた我那覇さんだが、2013年2月の辺野古移設名護市市民大会で名護市女性部代表として演説したのをきっかけに政治との関わりを強めていく。反対運動が注目されがちな普天間基地の移設問題だが、この集会には千人以上が集まり、一日も早い辺野古移設を求めたという。同年11月には、大学時代のインターン先だった出版社の協力を経て、名護市でフリーペーパー「やんばるプレス」を創刊。国会議員へのインタビューをはじめとする政治ネタから、「名護美人」と題したタウン情報も扱った。那覇市や県外からも大きな反響があり、準備していた4000部は全て配り終えてしまった。さい先の良いスタートを切った「やんばるプレス」だったが、出版社との間で編集方針の齟齬があり廃刊になってしまう。 出版社の要求に応じた編集にすることは考えなかったのかと質問したが、「それは読者を裏切ることになる」ときっぱり言う。「今の日本の若い人は根無し草で、私の周りにも精神的に苦しんでいる人がいる。沖縄の私達の世代は、仕事を掛け持ちするなど毎日生活するので精一杯の人も多い。こうした問題は政治と繋がっているが、当事者の若い世代は根本的な問題を考えるきっかけがなく、政治に無関心だ。フリーペーパーもそうだったが、日本の空気を変えるために必要な活動はなんでもやらなければと思っている」