<最高の花道へ―センバツ’22・東洋大姫路>/中 報われた日々の練習 集中力と判断力、根気よく体得 /兵庫
東洋大姫路が秋季近畿大会へと勝ち進むために、避けて通れなかったのがライバル校、報徳学園との対戦だ。県大会の3回戦で、選手たちは強豪を相手に集中力を見せた。 試合は投手戦となり、互いに無得点で終盤まで進んだ。八回には、相手先頭打者の外野への飛球を遊撃手の小松聡真選手(2年)が背走で飛びついて捕球。一塁手の岡部虎尉主将(同)も鋭いライナー性の当たりに素早く反応して飛びつくなど好守が光り、スタンドから何度も歓声が上がった。 延長戦に突入し、迎えた十回表、2死二塁で村崎心選手(同)が左前適時打を放ち、この1点が決勝点となった。チームは無失策で、森健人投手(同)が相手打線を6安打に抑えて完封。平野真吾コーチ(41)も「全員が一球一球に集中し、一つずつアウトを取れた」と堅守をたたえた。毎朝の自主練習で、捕球などの守備に力を入れてきた小松選手は「緊張せず守れるようになった」と自信をつけた。 一方で、この試合で4安打と振るわなかった打線は、準決勝の社戦でもつながりを欠いた。得点圏まで走者を進めてもあと1本が出ない場面が続き、1-4で敗戦。犠打の失敗も多く、それから3位決定戦までの約1週間、「つなぐ野球」に取り組んだ。試合を想定し、打球を転がす方向や、走者が進塁、帰塁するべきかどうかの判断力を高める練習を繰り返した。 迎えた明石商との3位決定戦。地元、姫路市のウインク球場のスタンドからは大きな声援も聞こえる。ベンチでは「絶対に勝とう」と何度も声を出し、気持ちを高め合った。三回無死一塁、岡部主将が犠打を成功させると、2死満塁と好機を広げ、浦部塁選手(同)の中前打で2点を先取。その後、同点とされたが、九回、岡部主将の左前打が相手の送球エラーとなり、勝ち越しに成功した。粘り強く勝利し、近畿大会への切符を手にした。 藤田明彦監督(64)は「練習でできたことしか試合ではできない。選手たちが厳しい練習をコツコツと積み重ねてきた成果」と評価する。13年ぶりの近畿大会出場を決めたチームは、悲願の甲子園出場に向けて一歩近づいた。【後藤奈緒】 〔神戸版〕