52歳三浦“カズ”がやっと令和初陣。62分間のプレーに何を感じたか?
「前半がああいう感じだったので、(ハームタイムに)もうちょっと割り切ってプレーしよう、シンプルに相手の嫌なところを突いていこうと戦略を変えて、みんなが最後まで攻めたことが上手くいった」 ハーフタイムに行われた話し合いの内容をカズはこう明かした。先にゴールを奪われたことで、カズの言葉を介して注入されていた危機感が起爆剤と化したのだろう。横浜FCに傾き始めた流れは、シュート数0本だったカズとの交代で出場したホープ、斉藤の小気味いいプレーとともに加速。残り15分になって立て続けに決まった松井の同点弾、途中出場のFW戸島章の逆転弾につながった。 「なかなかボールをもらうチャンスがなかったので、それに関してはちょっと悔しい。自分自身としては決して満足のいくような内容ではなかったけど、今日に関しては60分すぎまでプレーできたことを次につなげていきたい。もっとボールに関われるように、ここから上げていきたいですね」 負傷離脱する前はエジソン・アラウージョ・タヴァレス監督の方針のもとで、アウェイ戦はあえて遠征メンバーに入らず横浜に居残って調整。ホーム戦限定で先発し、後半10分をめどにコンディションがいまひとつだったエースのFWイバと交代するパターンが定着しかけていた。 青写真通りに3月23日のFC岐阜戦、そしてアビスパ戦とカズからバトンを渡されたイバが得点。前者の一戦は勝利し、後者は追いついて勝ち点を獲得している。もっとも5月14日にタヴァレス監督が解任され、下平ヘッドコーチが監督に昇格。トップフォームを取り戻しつつあるイバも、直近のリーグ戦2試合で3ゴールをマークして連勝に貢献している。 「監督が代わったので、次の試合がどうなるかはちょっとわからないですね」 こう語りながら前を見すえるカズが、自らに課していく作業はただひとつ。常に先発で出場できるコンディションを作り上げ、実際にピッチに立てば勝利に貢献するパフォーマンスを演じ続ける。遅まきながら令和での第一歩を記したスーパースターは天皇杯の上位進出、何よりも現時点で12位に甘んじている横浜FCの浮上とJ1昇格を目指してまっすぐに歩んでいく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)