ドジャースに「故障者続出」も…チームの窮地を救う”秘密兵器”は…?
今季も快進撃を続けるロサンゼルス・ドジャース。NL西地区では2位に6.5ゲーム差をつけ1位、MLB全体でもトップと0.5ゲーム差の2位と例年通りの強さを見せている。しかし、実はその裏でリリーフ陣が相次いで故障している。そこで今回はドジャースのリリーフ陣の現況を見ていきたい。※成績は日本時間5月9日時点
リリーフ陣に怪我人続出…
今季のドジャースは開幕当初から故障者を多く抱えている。ダスティン・メイ、クレイトン・カーショウのような今季長期離脱が決定していた投手に加えブルスダー・グラテロル、エメット・シーハンなどスプリングトレーニング中に故障が発覚し離脱している投手もいる。 また、4月後半にはジョー・ケリー、ライアン・ブレイジャー、さらにはクローザーのエバン・フィリップスまでが故障者リスト入りしてしまった。ネットでは故障者リスト投手陣の方が強いのではないかと言われる始末だ。 以上の通り、現在はダニエル・ハドソン/アレックス・ベシア/ブレイク・トレイネンで7,8,9回を抑える運用をしている。現時点ではフィリップス不在であってもある程度の安定感を見せている。 しかしハドソン、トライネンは故障明け、ベシアは制球を乱すときがあるなど、不安要素があるのも事実。選択肢はいくらあってもいいはずだ。そこでミドルリリーフ陣やマイナー選手から、ステップアップできそうな選手を見ていきたいと思う。
“秘密兵器“となり得る選手たち
■マイケル・グローブ 今季でメジャー3年目のマイケル・グローブは、22年にアンドリュー・フリードマン編成本部長のキャリアで初となる、ダブルAからの飛び級でデビュー。当初先発として起用されたが、23年シーズンにフォーシームの精度に苦しみ、今季よりリリーフに完全配置転換された。 カッター、シンカーの割合を増やし、1イニングオンリーで使われることが増えた4月後半からは徐々に成績を上げていき、4月15日以降の奪三振率は13.03を記録している。 グローブの武器は投球の半分以上を占めるスライダーで、流行りのスイーパータイプではなく落ちながら曲がるタイプだが、低めに集めることで空振り率は3割を超える。逆にシンカーが被打率.412、被長打率.588と打たれているが、スライダーと同様に低めに集めることが出来ればゴロの比率が増え、より成績が向上するだろう。 ■J.Pファイアライゼン J.Pファイアライゼンはドジャースが22年12月にタンパベイ・レイズからトレードで獲得した投手だ。このときファイアライゼンは肩の手術直後だったが、ポテンシャルを買う形で獲得した。22年のレイズ時代には22試合連続無失点を記録するなど実力は十分で、パフォーマンス次第ではセットアッパーになりえる。 ファイアライゼンの武器は球界随一のiVB(縦の変化)を誇るフォーシームで、22年の20.21インチはメジャー8位だった(100球以上を対象)。このフォーシームを高めに集め、スライダー/チェンジアップを低めに制球できれば22年のような活躍ができるはずだ。 ■リッキー・バナスコ リッキー・バナスコは昨季テキサス・レンジャースからDFAとなった時にドジャースが獲得。その後FAとなるもすかさずメジャー契約で再契約したというなんだか秘密がありそうな投手だ。22年オフにドジャースがすぐさま獲得したシェルビー・ミラーは36試合登板で防御率1.71の活躍を見せたが、ミラーと同じ雰囲気を感じる。 ここまでメジャーでは1試合2イニングの登板で無失点。速球の平均球速は95.2マイル(約153キロ)、変化球はナックルカーブを持っている。ベシア、ファイアライゼンと同様にフォーシームが売りで、12球を投げ『Stuff+』は127とエリートレベルだ。 マイナーでは11回で防御率5.73と若干苦しんではいるが、奪三振率10.6と支配力を見せている。課題は与四球率9.0にみられる制球力だろう。ここを治せればリリーフレギュラーとして挙がってくるはずだ。 ■コナー・ブログドン コナー・ブログドンは4月初旬にフィラデルフィア・フィリーズから獲得した投手だ。22~23年では73試合登板で防御率3.58と安定した活躍を見せ、フィリーズがワールドシリーズに進出した22年のポストシーズンでは8.2回2失点13奪三振と良い働きを見せた。 しかし今季はフィリーズ/ドジャースで通算4試合に登板し、防御率24.00と大炎上してしまった。現在は右足底筋膜炎で故障者リスト入りしているが、5月5日にリハビリ登板を開始。 リハビリ登板ではここまで2試合に登板、2回を投げ2失点。マイナーリーグオプションが残っていないため、リハビリが終了次第ロースター登録をするか、DFAとする必要がある。 ブログドンが良かったシーズンに機能していたのがチェンジアップだ。メジャートップレベルの横変化量と、共に落ちていく球で22、23年ともに空振り率が3割を超えている。今季もチェンジアップの威力は健在のようだが、フォーシーム/カッターの被長打率が1以上ともはや打撃練習状態となっている。 マイナーでのリハビリ中もフォーシームの割合が多少増えたのみで、球種割合はほとんど何も変わっていない。米スポーツ紙『The Athletic』の取材でブログドンはこの数か月、投球モーションを見失っているとコメントしており、マイナーではそこを修正しているのかもしれない。いずれにせよ大穴枠で獲得した投手なので成功すれば儲けものと言ったところだろう。
ベースボールチャンネル編集部