原発・エネルギー政策に水差す敦賀2号機不合格 原電経営も厳しく大手電力の支援次第
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働の審査不合格が13日に正式決定した。政府は脱炭素電源として原発を「最大限活用する」方針を掲げ、原発の再稼働を進めたい考えだが、早速、水を差された形になる。経営が苦しくなる日本原電は再稼働を目指し、再申請する意向だが、審査合格の道筋は見えない。支援する大手電力の動向も今後の焦点になる。 ■13基の稼働時期は未定のまま 「非常に残念。厳しい判断がなされた」 経済産業省幹部は不合格の一報を受け、こう厳しい口調で語った。原発を巡っては10月末に東北電力の女川2号機が再稼働したばかり。12月には中国電力島根2号機が続き、国内で14基が稼働する体制になる。だが、他の審査申請済みの13基は具体的な稼働時期が定まっていない。 こうした中、審査を通らない事案が出たことはエネルギー政策にも大きな影を落としかねない。AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の増大を受け、脱炭素と電力の安定供給を両立できる原発は欠かせなくなっている。年内に素案を取りまとめる次期エネルギー基本計画では、原発の新増設や建て替えに踏み込めるかが注目されているが、再稼働すらままならない現実が重くのしかかる。 ■原電支援に株主から批判も 日本原電の先行きも厳しい状況だ。1957年に設立された国内唯一の原発専業会社として運転可能な原発2基を保有するが、いずれも再稼働のめどは立っていない。それでも経営が成り立つのは再稼働を前提に電力販売契約を結ぶ東北、東京、中部、北陸、関西の大手電力から原発の維持費や人件費に充てる「基本料金」を受け取っているからだ。 原発停止後に5社から受け取った資金の総額は13年間で1兆4千億円を超える。各社は再稼働の方針を維持する日本原電を支援する姿勢だが、負担だけが膨らみ続ける状況の中で、株主総会では批判の声も上がる。基本料金の負担は最終的には電気代に上乗せされ、消費者の負担につながる。こうした状況に大手電力がどこまで耐えられるかも日本原電の経営の行方を左右する。(万福博之)