甲子園4強→“門前払い”で浪人生活 東大合格を掴んだ動機づけ「切り上げるつもりで」
高校時代と変わらない“文武両道”「東大以外なら野球はやっていない」
「生物に興味があって農学部に行きたかったのと、頭のいい人たちと一緒に勉強してみたかったので」と、東大の理科二類を志した松本。「現役生の時は共通テストで切られた」と“門前払い”だったというが、「神宮で投げることを“モチベ”(モチベーション)にしながら」猛勉強。1浪で合格を勝ち取った。 一方、プレーする上で1浪によるブランクは決して小さくない。「浪人中も週1回はジムに通っていたので、そこまでガッツリ筋力が落ちたわけではない」としながらも、「現状は(高校時代の)90%程度。球速のMAXは高校時代の139キロから137キロに、少し落ちています」と明かす。体力を取り戻すことが、活躍の前提条件になる。 そして「結果に関わらず、浪人は1年間で切り上げるつもりでした」と言い、「東大以外なら、たぶん野球はやっていないです」とも。東大は東京六大学の他大学と比べ、浪人を経ている選手が多く、入部後も研究や勉強に割かなければならない時間が多い。松本は似た環境の選手たちと一緒に、高校時代同様「文武両道」の精神で、レベルアップを計ることになりそうだ。 「自分で試合をつくり、勝てる投手になりたい。そして4年間のうちに優勝したいです」と目標を掲げる松本。来年秋に100周年を迎える東京六大学野球の歴史で、唯一優勝したことがないのが東大だが、高校時代同様、工夫次第で不可能を可能にできることを実証するつもりだ。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki