甲子園4強→“門前払い”で浪人生活 東大合格を掴んだ動機づけ「切り上げるつもりで」
東京六大学春季リーグデビュー…東京・国学院久我山高出身の松本慎之介投手
東大は東京六大学野球春季リーグで10戦全敗に終わり、53季連続最下位となった。だが、秋季リーグへ向けて光明がある。2022年春の選抜高校野球で東京・国学院久我山高の全国ベスト4入りに貢献した左腕・松本慎之介投手(1年)がリーグ戦デビューを飾り、本領発揮へ向けて着々と準備を整えているのだ。高校時代にこれほど実績をつくった選手が東大でプレーするのは、極めて珍しい。 【動画】効率と勝利の「両立」へ 古豪高校の“時代に合わせた”練習の様子 松本は5月25日、立大1回戦で3点ビハインドの8回に3番手としてリーグ戦初登板。1死から味方二塁手の失策で走者を許すも、続く立大の3番・柴田恭佑内野手(4年)を二ゴロ併殺に仕留め、結局この回を3人で片づけた。翌26日の同2回戦でも、5点ビハインドの8回に5番手で連投し、2四球を許したが、ヒットと得点は与えなかった。2試合で計2回無安打無失点。上々のデビューだった。 「緊張よりも興奮の方が強かった」と松本。大久保裕監督は「4月の入学以降、体づくりをしてきて、そろそろできてきたところ。もともと力を持っているので、神宮に慣れれば、たぶんこんなものではない。いい打者との対戦を重ねて、いい投手になっていってもらう」と期待を寄せ、秋季リーグでは先発起用の可能性も「十分あります」と明言した。 松本が高校時代を過ごした国学院久我山高は「文武両道」を掲げ、都内有数の進学校という一面を持ちつつ、部活動にも力を入れている。狭いグラウンドを他の運動部と共用し、平日の練習時間は3時間程度限定。こうした環境をカバーするために、選手個々が自分の課題に応じてメニューを作成する個別練習を取り入れ、チーム全体で能率的な練習方法を考案し、データ分析にも力を入れている。 2021年の11月にイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が同校を訪れ直接指導した際、「全員で考える野球は素晴らしい。実は僕もずっと文武両道っていうのに憧れていたので」と感心したほどだ。 2022年の選抜大会では、佐賀・有田工高、高知高、石川・星稜高を次々と破り、準決勝まで進出。当時背番号「10」を付けていた松本は、リリーフで4試合中3試合に登板した。