ボスティック総裁、金利維持必要-金融政策の景気抑制効果薄れる
(ブルームバーグ): 米アトランタ連銀のボスティック総裁は23日、金融政策が成長を鈍化させる効果は以前のサイクルよりも弱くなっており、インフレ抑制のために金利をより長くより高い水準に維持する必要性が強まっていると述べた。
同総裁はスタンフォード大学経営大学院の学生とのオンラインディスカッションで、1-3月(第1四半期)にはほとんど下がらなかったインフレ率が再び低下していることに満足していると示唆したものの、進展はまだ遅いと指摘した。
「2024年第1四半期(1-3月)のインフレ率は基本的に横ばいだった。ここ2、3のデータは恐らくこうした状態を脱してインフレ率が2%に向かう軌道に戻りつつあることを示唆しているが、進展は遅い」と語った。
ボスティック総裁は米経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を経て変化し、人々や企業が以前ほど金利に敏感でなくなったとの考えを示した。
「インフレが急加速し、われわれが政策金利を変更しなければならないことが明らかになると、負債を抱える人はいずれも債務を低コストで固定しようとした」とし、非常に多くの債務がより低金利へと借り換えられたため、政策金利の影響力は弱まっていると説明した。
その上で「米政策金利に対する感応度、つまり当局による景気抑制とその程度はかなり小さくなるだろう」と指摘。現在の政策金利の水準について、このような理由から「あなた方が予想するよりずっと長く続くと予想している」と述べた。
22日に公表された4月30日-5月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、参加者は金融政策が「良い位置にある」と評価する一方で、正当化されるなら追加利上げにも前向きな意向をさまざまな当局者が表明した。
連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は21日、利下げを開始するには良好なインフレ数値を「あと数カ月」確認する必要があるとし、「3、4カ月の据え置きで経済が崖から急転落するようなことにはならないだろう」と指摘していた。