教員のなり手不足深刻、異例の追加募集相次ぐ…熊本市教委は内定辞退者も最多で「予定人数確保できず残念」
今年度の公立学校の教員採用試験で、採用予定者数に達せず、異例の追加募集を実施する自治体が出ている。九州・沖縄では受験者増を狙って、試験日を前倒ししたが、受験者数が過去最低となる自治体も相次ぐ。各教育委員会は、志願者の掘り起こしといった対策に乗り出している。 【グラフ】公立学校教員の採用倍率推移
基準点下回る受験者も
今月1日、熊本市教委は初めて追加募集の試験を行った。試験会場の市立必由館高では、3年以上の勤務経験がある臨時的任用教員や元教員らが模擬授業をしたり、面接を受けたりした。
臨時教員をしながら正規採用を目指していた30歳代の男性は「来年受けようと思っていたので、チャンスが増えた」と歓迎した。同市では6~8月に採用試験を実施したが、採用予定者314人に対し、合格者は262人と52人が不足。英語で12人、数学で6人などが足りず、さらに小中高では、これまでで最多の13人が内定辞退する事態となった。
追加募集では当初、3年以上の勤務経験がある現職や元教員を対象としたが19人しか集まらず、臨時的任用と任期付き採用教員にも対象を拡大。1日は79人が受験したものの、基準点を下回った受験者もおり、合格者は35人にとどまった。
市教委教職員課の上村清敬課長は「予定人数を確保できなかったことは残念。現場の人員に影響が出ないように、足りない分は臨時講師で補う」と話した。
採用倍率は過去最低
近年、教員のなり手不足が深刻化している。文部科学省によると、全国の公立学校教員の採用倍率は過去最高の13・3倍だった2000年度から下降を続け、23年度に実施された24年度採用の選考では、過去最低の3・2倍となった。
採用日程が教員よりも早い民間企業への流出を食い止めようと、文科省は今年度、各教委に対して試験日程の目安を従来より約1か月早い6月中旬と示した。読売新聞が今年度の教員採用試験について、九州・山口・沖縄の各県と政令市の12教委に取材したところ、山口県を除く、11教委が日程を早めた。一方、受験者数は、山口、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄各県と熊本市の8教委で過去最低となった。