今シーズン限りでの現役引退を発表するラグビー元日本代表の田中史朗（撮影・中島郁夫）

　ラグビー日本代表75キャップを誇るSH田中史朗（39＝NECグリーンロケッツ東葛）が24日、今季限りでの現役引退を発表した。 　都内のホテルで行われた引退会見では、元バドミントン選手の妻智美さんからの言葉や、今後のラグビー界について語った。 　主な一問一答は以下の通り。 　－2012年から1人でニュージーランド（NZ）へ 　田中　やっぱり自分の使ってきた時間が日本のラグビーを変えていけると思ってプレーしていました。今の子どもたちは世界を見る機会が増えました。日本のラグビーに対する気持ちを変えられたと思います。 　－今の日本代表が上に行くために必要なことは 　田中　シンプルに世界はそんなに甘くないと伝えたいです。厳しい世界ですし、日本だけが努力してしんどいことをしているわけじゃない。世界の情報を得ながら日本のラグビーを築かないといけない。人とのコミュニケーションを小さい頃からとれるようにして、英語を学びながら、世界にチャレンジする意識をラグビーだけでなくいろいろなスポーツで持ってほしいです。 　－奥さんに引退を伝えたのはいつごろか 　田中　2カ月ほど前に、引退することを決めて話をしました。日本代表のときに諦める、諦めないという話をしていたときは、もうちょっと頑張ろうと言ってくれましたが、今回はお疲れさま、ありがとうと言ってくれました。肩の荷がおりて、妻と一緒に戦ってきた実感がありました。 　－今後のラグビー界に期待したいこと 　田中　昔、僕が過ごしていたころよりも、ラグビーが少しずつ文化になって根付いてきています。一番大事なのは日本代表が勝つこと。そして若い頃から小さい頃からラグビーに携われる環境をつくっていければ、子どもたちの成長につながると思います。 　－NECアカデミーのコーチになる理由 　太田治ゼネラルマネジャー（GM）　ここまで日本代表を引っ張ってくれました。非常に感慨深い。そこからスーパーラグビー、サンウルブズ、代表で活動してきました。彼の実績をクラブの立場としては子どもたちに伝えてあげたい。シーズン中なので正式に決まったら発表するが、スタッフ入りを考えています。 　田中　ラグビーを教えるならどこでもいいと考えています。ベースとしてチームがあれば動きやすい。アカデミーがいい状態でプレーできています。そこからいろいろなところでたくさんの子どもたちにラグビーを教えたいです。あと、まだ引退じゃないので。あと1カ月は現役なのでお願いします。 　－将来的に日本代表ヘッドコーチ（HC）になりたい理由 　田中　選手として日本代表で試合に勝つことの喜び、ファンの皆さまに喜んでいただける喜びをもう1度味わいたい。プレーヤーとして継続することはできないので、次はコーチになって、そういう部分を選手に味わっていただきたい。また感動を届けられるチームを作りたいです。 　－どんなHCになりたい 　田中　厳しさがあるHCが絶対に必要。特に日本では厳しさがないと世界で勝てません。その中で人間として、選手と戦っていける家族のような、何でも話せる間柄になりたいです。きれいごとだけではなれない。これからコーチングを学び、周りの人とのつながりを大事にしながら将来的にやっていけたらいいと思っています。 　－ラグビーを一言で表すと 　田中　僕の人生そのもの。ラグビーがなければ生きていけないし、ラグビーのおかげで自分自身を成長させてもらえたと思います。 　－生まれ変わってもラグビーの道を歩むか 　田中　もう絶対にラグビーの道を選びますし、ラグビーなしでは生きていけない。