トランプ氏の口止め料支払い、家族と評判守るためだった-弁護側主張
(ブルームバーグ): トランプ前米大統領が元不倫相手への口止め料支払いを隠すために業務記録を改ざんした罪に問われた裁判で、検察側は22日、前大統領がスキャンダルの隠蔽(いんぺい)で2016年大統領選の結果に影響を与えたことを裁判でどのように証明するか、新たな情報を示して説明した。一方、弁護側は、支払いはトランプ氏の評判を守ることだけが目的だったと反論した。
大統領経験者を被告人とする刑事裁判は史上初。前大統領は元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料13万ドル(現在のレートで約2000万円)が支払われたことを隠すために業務記録を改ざんしたとして34件の罪に問われている。検察側は、口止め料を立て替えていたマイケル・コーエン元顧問弁護士への弁済を弁護士費用として計上することで、前大統領が記録を改ざんしたと主張している。
コランジェロ検事はニューヨーク州マンハッタン地区の裁判所で行われた冒頭陳述で、トランプ、コーエン、デービッド・ペッカー3氏が関与した犯罪的陰謀の概要を明らかにした。ペッカー氏は米タブロイド誌ナショナル・エンクワイアラーの親会社を統括し、前大統領に関するネガティブな情報が表沙汰にならないよう買い取ることに同意したとされる人物。検察側によると、陰謀は15年5月にトランプタワーで行われた会合から始まった。
同検事は「これが解釈や戦略ではなく、ドナルド・トランプ氏が当選するよう大統領選に影響を与える計画だったことを証拠は示すだろう」とした上で、「選挙詐欺に他ならない」と強調した。
これに対し前大統領の弁護士トッド・ブランシェ氏は「選挙に影響を与えようとすることは何も悪くない。それが民主主義というものだ」と反論した。
ダニエルズさんは06年に前大統領と性交渉を持ったことを公表すると警告したが、それはトランプ前大統領を「脅そうとしたも同然」だったと、ブランシェ氏は指摘。検察側の有力証人であるコーエン氏については、トランプ氏に「執着」があり、有罪になるようにうそをつくだろうと主張。