両腕を突き上げて喜ぶ国学院大の平林

◇14日　出雲全日本大学選抜駅伝（島根・出雲市出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドーム前ゴールの6区間45・1キロ） 　学生駅伝の今季初戦は、国学院大が2時間9分24秒で5年ぶり2度目の優勝を飾った。序盤は駒大や青学大に先行を許したが、4区の野中恒亨（2年・浜松工）、5区の上原琉翔（3年・北山）がともに区間賞の走りで2校を逆転。最終6区で主将の平林清澄（4年・美方）がアンカー対決を制した。大会3連覇を狙った駒大は2位、青学大は3位だった。 　5年前の再現のようだった。国学院大の4年生は、2019年の初優勝を見て入学した世代。平林もその1人だった。今大会はエースで主将の立場で迎え、「再現ドラマのような走りができて、憧れのまま終わらせずにしっかり走れた」と笑う。当時は最終6区（10・2キロ）で土方英和がトップと37秒差の4位でたすきを受け、大逆転での初優勝。この時も2位は駒大だった。 　今回の勝負どころとなったのは、6区の5キロ付近。平林は駒大の篠原倖太朗（4年・富里）と序盤は並走していたが、5キロ付近で突き放しにかかった。1万メートルの自己記録では篠原が今大会最速の27分35秒05で、平林は27分55秒15。持ちタイムではかなわないこともあり、平林は「ラストスパートには持ち込みたくない。ロングスパートは考えていたし、（自分が得意とする）アップダウンが勝負どころ」と冷静に分析。2月の大阪マラソンもクレバーなレース運びで優勝。ロードレースでの強さが今回も光った。 　前田康弘監督（46）は「毎年優勝を狙えるぐらいの力量はないが、チャンスがあるときには仕留めようと考えて、今年と決めて平林と一緒にチームをつくってきた」と振り返る。その上で平林がエースが集ったアンカー対決を制したこと、前田監督の母校・駒大に勝ったことに「物語としては”出木杉くん”ですよね」と笑みを浮かべた。 　出雲駅伝は毎年スポーツの日に開催されているが、5年前の初優勝の日も10月14日だった。国学院大がまた1つ歴史を変えた。