女児襲撃繰り返し、何度も有罪判決 兵庫女児刺傷事件の容疑者
兵庫県たつの市の路上で18年前、女児を刃物で襲って重傷を負わせたとして、兵庫県警は7日、別の女児殺害事件で無期懲役が確定して服役している勝田州彦(くにひこ)容疑者(45)を殺人未遂の疑いで逮捕した。容疑者はこの1年後、兵庫県加古川市で女児が殺害された事件への関与を示唆する供述をしており、県警は連続女児殺傷事件とみて慎重に捜査を進める方針だ。 【図解で分かる】一連の事件を巡る経緯 勝田州彦容疑者は7日午前11時40分ごろ、服役中の神戸刑務所から車で移送され、兵庫県警たつの署に入った。紺色のフードをかぶり、赤の長袖シャツと茶色のズボンを着用し、終始うつむいていた。 女児や女子中学生らを刃物で襲う手口の事件を起こしたとして、勝田容疑者は複数の有罪判決を受けていた。その執着ぶりは過去の裁判で明らかになっている。 裁判記録によると、勝田容疑者は2000年、女児に対する暴行事件で懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。猶予期間が明けて間もない04年に起こしたのが岡山県津山市の女児刺殺事件だった。 この事件で逮捕されたのは18年。当初は容疑を認めたが、「うその供述をした」と否認に転じた。岡山地裁で開かれた公判では「絶対にやっていない。冤罪(えんざい)です」と訴えていた。 だが、有罪とした22年の判決は動機について「女の子の苦しむ顔を見たいと考え、おなかを殴る機会をうかがった」と指摘したうえで、女児から抵抗されたとの理由で殺害に及んだと認めた。執行猶予期間の終了直後だったことも重視し、「更生する可能性は乏しい」として無期懲役を選択していた。 津山市の事件で逮捕される前の15年には、兵庫県姫路市で女子中学生をナイフで数回突き刺し、約1カ月の重傷を負わせた殺人未遂事件を実行していた。懲役12年とした1審の神戸地裁姫路支部判決は、事件に至る経緯を詳細に述べている。 判決によると、勝田容疑者は学校や家庭でのストレスから自身の腹を刺す自傷行為を繰り返していた。高校入学以降は少女が登場するアニメに関心を持ち、その後に「女児を襲いたい」とする気持ちが高まっていったという。投薬治療を受けたこともあったが、自ら通院をやめていた。 こうした事情を踏まえた判決は「他害行為への衝動は長年にわたって形成され、犯行態様は徐々にエスカレートしており、相当根深い」と指摘した。被害者に弁償金を払うなどしたとして大阪高裁が懲役10年に減刑して確定した。【斉藤朋恵、面川美栄、高良駿輔】