【解説】最低賃金「1054円」に 過去最大の引き上げも…専門家「物価高を考えると足りない」 今後への影響は
日テレNEWS NNN
24日午後9時すぎ、厚生労働省の審議会は、最低賃金の全国平均の目安を「1054円」と決めました。過去最大50円の引き上げです。最低賃金を下回ると違法になります。「1054円」という数字は今後どのような意味を持つのでしょうか。解説します。
■最低賃金の推移…約20年の間に「341円」しか上がらず
藤井貴彦キャスター 「小さな商店から大企業まで、すべての働く人に関わる話で非常に重要な数字ですね」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「そうなんです。この最低賃金、現在の全国平均は、『1004円』なんですが、さかのぼってみると、2002年度には『663円』。約20年の間に『341円』しか上がっていないんです」 「街では、こんな声が聞かれました」
東京・渋谷で24日… アルバイト(30代) 「食品だったり色々、上がっているものが多いなかで(物価も)一緒に上がってきたら意味ないよねって思いました」 大学生 アルバイト(19) 「カツカツです。物価高いので(賃金が)上がってくれたらと思いますね」
■審議会では…「労働側」「経営側」それぞれの声
藤井キャスター 「やはり、みなさん『物価高』を口にされていました」 小栗委員長 「審議会でも、労働者側は『物価高で労働者の暮らしは極めて苦しくなっている』として大幅な引き上げを求めました」 「一方で、経営側は、賃金の引き上げは必要とした上で、『賃上げでコストが増えることで企業の倒産につながるおそれがある』ことなどを考慮し、慎重な姿勢を示していて、この両者の隔たりが埋まらず、審議が難航していました」
■「1054円」は妥当? 専門家「物価高を考えると足りない」
藤井キャスター 「両者の声は理解できるのですが、そのなかで1054円という数字は妥当なのでしょうか?」 小栗委員長 「その点について、経済評論家の加谷珪一さんは今の物価高を考えると『足りない』『特に食料品の値上がりを考えると1100円はほしかった』と話しています」 「最低賃金は、みんなが安心して暮らすための“社会保障”に近いもので、この最低賃金を上げると、今後の賃上げ交渉をしやすくなるという間接的な効果も生まれる、と指摘しています」