特産品のブランド化へ そばと辛味大根 ワークショップで可能性探る 長野県下條村
長野県下條村で農業活性化に取り組むNPO法人「元気だ下條」(理事長・金田憲治村長)は1日、村特産の親田辛味大根と村産そばのブランド化に向けたワークショップを村コスモホールで開いた。生産者や農業関係者ら約30人が参加。講演会や試食を通じて辛味大根とそばの魅力に理解を深め、普及を目指して可能性を考えた。 ブランド強化の一環として、同法人が2020年の設立以来開いており、今年で4年目。当初は信州の伝統野菜にも認定されている親田辛味大根のみを取り上げていたが、昨年から村産そばも加わった。 講演では、同法人と共同で商品開発を進めている信州大農学部の根本和広助教授が、現在取り組んでいる真空パック詰めの大根おろしについて経過報告した。市販のわさびチューブを参考にして辛味を残そうと実験を重ねているが、真空パックに詰める際に「水分とともに辛味が抜けてしまっているかもしれない」と課題を指摘。「村や学生と今後も実験を重ね、次のステップに進みたい」と話した。 信州そば切りの会の会長で、伊那市のそば屋「壱刻」店主の山根健司さん(58)は、信州そばの歴史と伊那市のそば振興の取り組みを紹介。参加者の質問にも答えながら「そばによる地域振興を一緒に頑張りましょう」と呼び掛けた。 後半は、飯田市や岐阜県で飲食店を運営する「岳」(飯田市)と高森町の日本料理店「葵」が考案した親田辛味大根を使ったメニューや、同法人が主催する「そば打ち講習」の講習生5人が打ったそばの試食会が行われた。 岳は大根おろしを載せた2種類のラーメンと豚丼、葵はシカ肉の竜田揚げと卵焼き、あえ物を披露。いずれも店舗で提供予定だといい、岳は「親田辛味大根のピリッとした辛味は脂のある食べ物と合う」とPRした。 宮島俊明副村長は「ジビエと辛味大根の組み合わせは面白い。わさびよりも合うのではないか」と驚いた表情。金田村長は「脂が辛味大根によってさらっとさわやかになり何杯でも食べられそう。和食では辛味がより旨みを引き出し、お酒が飲みたくなる」と話し、「つくるだけでなく生かす方にも力を入れ、ブランド展開をしていければ」とした。