「十手舞」より

ＢＳ松竹東急(全国無料放送・BS260ch)の放送枠「よる8銀座シネマ」では、「日本の名匠シリーズ 極彩色のエンターテイナー 五社英雄特集」と題して、2月20日(火)～2月23日(金)の期間で、五社英雄監督による「薄化粧」「十手舞」「226」の3作品を放送する。 【写真】女性に薄化粧をしてもらう、若かりし頃の緒形拳さん ■総製作費20億円をかけた映画「226」 第7回日本アカデミー賞最優秀監督賞に輝いた「陽暉楼」や「極道の妻(おんな)たち」などの話題作を生み出し、壮絶なアクションと鮮烈なエロティシズムで人間の情念を描き続けた日本映画界の鬼才、五社英雄監督。 日本で初となるテレビディレクター出身の映画監督ともいわれ、エンターテインメント性を追求しながら、激しくも艶めかしい映像美を持つ多くの作品を世に残してきた。映画版「三匹の侍」や「人斬り」などの時代劇でも、それまでになかった斬新な殺陣とカメラワークによる迫力ある表現を開拓している。 今回の特集では、別子銅山で起きた実際の事件に基づく西村望の同名小説を映画化した「薄化粧」、数奇な運命に翻弄される女性の哀しみを奇抜なアクションと斬新な演出で描いた「十手舞」、総製作費20億円をかけてオールスターキャストでのぞんだ「226」の3作品を放送する。 ■妻子を殺した男が逃避行の旅に出る「薄化粧」 2月20日(火)夜8時からは、緒形拳、松本伊代、浅野温子、藤真利子による男女の愛を描いた「薄化粧」(1985年公開)を放送。物語の舞台は昭和23年。坂根藤吉（緒形拳）はある鉱山で炭鉱作業員として働きながら、妻のふくみ（浅利香津代）と息子と三人でつつましく暮らしていた。そんなある日、鉱山で落盤事故が発生。炭鉱作業員の代表として会社と補償問題の交渉に当たった藤吉だが、逆にいいように会社側に丸めこまれ、次第に人生の歯車が狂い始める。会社からつかまされた裏金を使い、若くて美しい未亡人の地所テル子（浅野温子）を誘惑し、彼女とねんごろの仲になった藤吉は、やがて妻子をひそかに殺すと逃避行の旅に出るのだが――。 2月21日(水)夜8時からは、極彩色の世界に踊る、堂々の時代劇娯楽巨篇「十手舞」(1986年公開)を放送。江戸時代、“影十手”と呼ばれる町奉行さえも手を出せない大きな悪を闇から闇に葬る者たちがいた。犯科帳で斬罪が申し渡された弥助（川谷拓三）たちが、江戸町奉行・内海孫兵衛（渡瀬恒彦）の眼の前で影十手となる。20余年後、松平周防守は渡海赦免状（貿易許可証）を捏造して、江戸に棲む回般間屋叶屋源四郎（世良公則）に与え、そこを隠れ蓑に国禁であるところの抜け荷をやらせ、藩の財政を裏から支えようとしていた。弥助たちは松平を叩き落とすため、動かぬ証拠である海渡赦免状を手に入れようとする。そんな仲、弥助は松平の手先、牙の伝蔵（地井武男）の情婦・お蝶（石原真理子）と出会う。彼女は弥助が捨てた妻・お咲と瓜二つだった――。 2月23日(金)夜8時からは、日本を変えようとして決起した青年たちが描かれる「226」(1989年公開)を放送。昭和11年2月26日、午前0時。早春の雪が、帝都東京に降りしきっていた。野中大尉（萩原健一）、安藤大尉（三浦友和）ら8人は、昭和維新を決行。22人の陸軍青年将校に率いられた総勢約1500人の決死部隊が、それぞれの連隊の営門を出発していった。昭和初期の社会の原動力ともなった若者たちの純粋さが事件を引き起こしたといっても過言でないほど、彼らの一途な情熱は凄絶だった――。