日ハム清宮がフレッシュ球宴本塁打で怪物アピールも1軍ではなぜかプロの壁
独自の野球理論に定評のある里崎氏が、さらにこう続ける。 「バッティングカウントや、自分のタイミングでスイングができるときは、形がいいので、長打にもなりますが、崩されるとタイミングが合わないんです。特に追い込まれてしまうと打席で迷っているのがわかります。まだデータは出ていませんが、相手バッテリーも清宮の打席の動きを見てタイミングの合わないボールで徹底して攻めてくるんです。例えば、5月のソフトバンク戦では、高谷が武田のストレートに合わないと判断してストレートを続けてきた。崩されたときにどう対応するかが課題でしょう」 5月13日のソフトバンク戦で武田翔太―高谷裕亮のバッテリーは、5回の第2打席は全球ストレートの配球で来た。最後は、真ん中高め、149キロのストレートのボールの下を振って空振りの三振。伸びのある一級品のボールへの対応がまったくできていなかった。7回二死からの第3打席は、初球は大きなカーブで入られて、カウントをひとつ取られると、そこからは、また全球ストレートで勝負されて連続の空振り三振に終わった。スイングの後、左膝が地面についてしまうほどバランスが崩れたのが印象的な打席だった。 里崎氏の指摘通り、ツーストライクと追い込まれてからの打率は大きく下がる。特に「0-2」「1-2」「2-2」のカウントからは全12本のヒット中、2本しかヒットがない。 確かにツーストライク後のバッティングは一流のバットマンでも難しい。 現在、打率.347、20本塁打でパ・リーグのランキング3位につけているソフトバンクの柳田悠岐でさえ、ツーストライク後の打率は.265まで下がる。阪神の金本監督は、キャンプからチーム全体にツーストライクと追い込まれてからの、バッティングの克服を課題として与えているほどで、プロでも、このカウントでの対応は、大きな壁とされている。 しかし、里崎氏は、「追い込まれてからの対応力、崩されてからの対応力を身につけない限り、この世界でレギュラーにはなれないんです」と断言する。 「タイミングが合ったときの形、フォームはいいんです。大きな欠点は見当たりません。自分の形で打てるボールを増やし、対応力を磨くこと。それには慣れと経験が必要になってきます。基本的にはバッターは受身。相手はタイミングを崩しにかかってきますから」