今田美桜への“厳しい声”に真っ向反論。NHK朝ドラ&花咲舞主演にむしろ期待しかないワケ
“カワイイ”という形容が間違い
そもそも今田のことを単に“カワイイ”などと形容すること自体、間違い。そうした形容で彼女の豊かな才能を押し込めようとしているようにさえ思ってしまう。じゃあなんだ、そんなカワイイ今田が翻って、大胆不敵にでも振る舞えば、“男勝り”とでも褒めそやすの? (大臣の日常的な失言でもあるまいし……)そんなわけない。昨年放送の話題作『いちばんすきな花』(フジテレビ、2023年)の今田を見ただろうか。見た目ばかりで判断され、本来の自分じゃない自分を演じ、装い、押し込められてきたひとりの女性の心の叫びを体現していたじゃないか。 『花咲舞が黙ってない』のタイトル通り、当たり前のことを当たり前に正すためには、巨大な銀行組織のイチ行員であろうと、黙っちゃいない。そんな花咲舞というキャラクターほど、今田にぴったりな役柄はないと思う。
ドラマ界の“改革請負人”
あるいは、規格外の社員像をちゃきちゃきした演技で印象づけた『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ、2022年、以下、『悪女』)は、どうだったろう。組織内で硬直化する男性社員に対して、次々意識改革を促す様は、壮観の一言。 同作は1992年に石田ひかり主演で最初にドラマ化された作品。30年ぶりのリメイク作として、令和の時代に見事にアップデートした今田のアクチュアルな功績はもっと評価されてもいい。彼女は言わば、ドラマ界の“改革請負人”。 請け負ったからには、それを然るべきカタチにまで底上げする。より頑丈に抜かりなく、そして何より一生懸命に、丁寧に。昭和的など根性とは違った、爽やかな請負人姿がほんとうに似合う人だ。
筋の通ったキャスティング理由
『悪女』のリメイク請負を成功させたことで、同じ日本テレビ放送枠の『花咲舞が黙ってない』を任される。こんなに筋の通ったキャスティング理由はない。前作の俳優と表層的な比較をして、ケチをつけるなんて、ちょっとね。 高圧的にバリバリ改革するんじゃなく、根気強く周りに働きかけながら、内側から生まれ変わらせる。そのためにはバシバシ発言することに妥協はない。物言う株主以上に強烈な姿勢だ。今田の再演なら、どんだけ正直にズバリ物言う行員になってしまうのか。むしろそっちのほうが心配なくらい。 3365人の中から2025年前期のNHK朝ドラ『あんぱん』の主演に満場一致で選ばれたばかりでもある。今田美桜の時代が、確実にきてる。古い価値観や制度をドラマ内キャラクターの姿を借りて、どんどん是正し、一蹴してほしいと思う。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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