FRB副議長、空きオフィスによる米銀のストレスは続く恐れ
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は、銀行は苦境にある商業用不動産セクターからのストレスに長期にわたり直面し続ける可能性が高いと警告した。
バー副議長は、銀行システム全体としては「健全で強靱(きょうじん)」であり、シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクが破綻した2023年3月のような圧力には直面していないと述べた。だが、空きオフィススペースが依然としてストレスの原因になっていると指摘した。
バー副議長はワシントンで開催された全米地域再投資連合(NCRC)主催のイベントで、「システムには一部リスクがある」と述べ、バランスシートにある有価証券の含み損の水準や、特に商業用不動産に集中している銀行を当局が注視していると語った。
連邦規制当局は昨年、銀行に対しオフィスビルなどの商業用不動産に関連する債務へのエクスポージャーをより厳しくチェックするよう求めた。パウエルFRB議長は先月、商業用不動産関連の不良債権が一部銀行の破綻につながる恐れがあるが、金融システムにリスクを突きつけていないと述べていた。
新型コロナウイルス禍でオフィス労働者がリモート勤務にシフトしたことから、サンフランシスコやニューヨークなどの都市の商業用不動産市場には大きな痛手となった。その後、多くの労働者がオフィスに回帰したものの、週5日出社を義務付けることに二の足を踏む企業は多い。
バー副議長は、かなりの価格下落が予想される地域のオフィススペースにエクスポージャーを持つ金融機関にFRBが注目していると述べ、借り換え案件が向こう数年で実行されていくだろうが「多少時間がかかるだろう」と付け加えた。
原題:Bank Stress From Empty Offices a ‘Slow Moving Train,’ Barr Says(抜粋)
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Benjamin Bain