トランプは決して「裏切者」を許さない…大統領選をともに戦うランニングメイト「有力候補」の名前
「トランプ政権」も捨てたものではない?
もう一つの重要なポイントは、かつてトランプ政権で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めた対中強硬派のマット・ポッティンジャー氏の最近の言動が際立つことだ。台湾と密接な交流を持つDCのシンクタンク民主主義防衛財団(FDD、マーク・ドゥボウィッツCEO)中国プログラム長と、米西部サンフランシスコの名門スタンフォード大学付属の保守系フーヴァー研究所(コンドリーザ・ライス代表)特別研究員を兼務する。 日本経済新聞(17日付朝刊)に掲載されたインタビュー記事でトランプ氏について、台湾防衛の意思を明確にすべきだと述べている。一方、米外交問題評議会(CFR、リチャード・ハース名誉会長)が発行する外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』(5‐6月号)に「勝利に優るものはない―米国は中国との競争を管理するのでなく勝利しなければならない(No Substitute for Victory ―America’s Competition With China Must Be Won, Not Managed)」と題した論文巻末に次のように記した。 <中国人が祖国から大量に流出するのは、彼らが人権を尊重し、法の支配を重んじ、幅広い選択肢を提供する国に住みたがっている証拠である。台湾の例で明らかのように、中国もそのような国になり得る。そこに至る道のりは長いかもしれない。しかし米国自身の安全保障にとっても、中国に住むすべての人々の権利と願望にとっても、それが唯一実現可能な目的地なのである>。 ポッティンジャー氏は7月1日、フーヴァー研究所出版会から『沸騰する堀―台湾を守るための緊急措置(The Boiling Moat-Urgent Steps to Defend Taiwan)』を刊行する。 仮の話だ。もしトランプ氏が自らの政権に、海兵隊情報将校、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル北京特派員経験があり、流暢な中国語を話す希代の戦略家でもある同氏を外交・安保政策立案の要職に据える心の余裕があれば、「トランプ政権」も捨てたものではない。 だがトランプ氏は決して「裏切者」を許さないし、絶対的な「忠誠心」を求める。ポッティンジャー氏は2021年1月の米議会占拠事件を批判してホワイトハウスを去った硬骨漢だ。残念ながら、無いものねだりと言うべきなのか。
歳川 隆雄(ジャーナリスト)