感動を呼ぶ斬新な懐石料理! 日本料理界に飛び級で現れた期待の大型新人が描く展望に迫る
本田:でき上がって「あれ?」みたいなのはないの? 藤井:お客様にお出しする時に調整します。 本田:最後に味見して? 藤井:はい。そこで整えていく。逆に試作すると駄目になっちゃうと思うんですよ。わかんなくなってきちゃうから。何が良かったかも忘れてしまう。
本田:頭の中で完成しているわけ? 藤井:自分の中で想像して、それを料理にすればいいという感覚でやっています。 本田:コースのメニューを作る時も頭の中で考えて? 藤井:最後の料理、お茶菓子から考えるようにしています。そこで次に来る季節を感じる“はしりもの”を使う。今だと、ふきのとうを出しています。ふきのとうは、これからどんどん苦みが出てきておいしくなってくる。その予感を込めて最後のお茶菓子にふきのとうを持っていきたいなと。その次に考えるのが先付け。先付だと“なごりもの”。今の時期だったらフグの白子など冬の“なごりもの”を使います。コースの中で四季を感じていただけるような構成にしています。
本田:あとは仕入れを頑張る。 藤井:とにかく、おいしい食材を仕入れて、その食材をより良くする、おいしさを損なわないようにすることを心掛けています。
本田:ウエケンさん(豊洲市場、水産仲卸業者)から仕入れているそうだけど、良い仕入れ先はどうやって見つけているの? 今までのコネクションとかあまりないでしょ? 藤井:たまたま行った寿司店で紹介してもらいました。魚がすごくおいしくて、大将に業者はどこなんですかって聞いたら、紹介してくれたんです。存在はもともと知っていたんですけど、一見さんはお断りでしたから。そこからすごく良くしていただいて、食材もいろんなものを使わせてもらっています。有名店で働いたことがなく、横のつながりがないので、いろんな人に助けてもらいながら、少しずつ業者や生産者とつながっているという状況です。 本田:ほかの食材は? 野菜はどうしている? 藤井:野菜は、静岡や千葉に友達や知っている生産者が多くて、そこから入れています。良い仕入れ先は、常に探していますね。 本田:良いところから仕入れられるようになると、もっと仕事がやりやすくなる。