ダイキン井上会長が退任「カリスマ不在」の前途、30年ぶりのトップ交代で直面する“3つの課題”
ただ34人いる執行役員のうち、取締役と兼任する森氏を含めて、女性は2人と少ない。また海外売上比率は8割超だが、執行役員以上の役職に外国人は1人しかいない。多様性の点では改善の余地がありそうだ。 さらに竹中氏の選任について十河社長は「井上会長と私で相談し、人事諮問委員会に諮問したうえで、取締役会で決定した」と説明した。 竹中氏は専務に就任以降、井上会長や十河社長から「毎日指導を受けてきた」(同氏)。人事、総務担当専務は井上会長や十河社長も経験したポストだ。
自らの腹心を後継に指名する構図は、外国人投資家を中心に疑問視されるようになっている。経営の連続性という点ではメリットがあるが、客観性や透明性の点では、社外取を中心に選任するほうが優れているからだ。 ■再任の賛成率が下落 昨年の株主総会では、井上会長と十河社長の再任について、賛成率が8割台まで下落した。たとえばJPモルガン・アセット・マネジメントは「社外取締役の比率が総会後の取締役会で過半に満たないため、代表取締役の選任に反対する」として十河社長の再任に反対票を突きつけた。
新たに就任する竹中氏がガバナンス改革に手をつけなければ、投資家から再びNOを突きつけられる可能性も否めない。 従来の成長戦略を維持しつつ、中長期では事業モデル転換に向けた手を打ち、ガバナンス面での守りを固める――。100周年目を迎えたダイキンを舵取りする、新社長の手腕が問われている。
梅垣 勇人 :東洋経済 記者