ターゲットは高校生、明石高専生が防災ゲーム開発 人気の「人狼」応用、カード版とアプリ版制作
明石工業高等専門学校(兵庫県明石市魚住町西岡)の学生が、高校生向けの防災ゲームを開発した。人間になりすました「人狼」を会話の中で推理する若者の間で人気のゲームを基に、災害や必要な備えを考える内容。学生らは「高校生は、小中学校に比べ、防災を学ぶ機会が減りがち。楽しみながら考えてもらいたい」と話す。(赤松沙和) 【写真】ゲームを開発した学生たち ゲーム名は「災害疑雨(だうでぃ)」。災害を疑う、という意味の英単語から名付けた。学生有志らでつくる明石高専防災団「D-PRO(ディープロ)135°」が、昨年春から1年以上かけて開発した。 人狼ゲームでは、参加者が正体を隠しながら人間を襲う人狼陣営と、特殊な能力を持った市民陣営に分かれて対決し、市民は村が滅びる前に協力して人狼を見つけ出す。 学生らはこのゲームを応用し、人狼は災害を起こす「ナマズ」に、市民陣営は「防災士」にそれぞれ置き換えた。防災士たちは、ナマズ陣営がこれから起こそうとしている災害が何かを会話の中で探りながら、その災害に備えるために必要なアイテムを集めていく。 ゲームに取り入れた災害は、大雨や地震、火災や土石流など13種。アイテムは食料やヘルメット、レインコートなど14種で、それぞれ実際に備える時に役立つ情報も紹介する。人狼ゲームのルールとは異なり、正体がばれても全員が最後までゲームに参加できるようにした。 企画、制作を担当した4年米田将馬さん(19)は「もともと複雑なゲームなので、できるだけシンプルに全員が役割を持って最後まで参加できるように調整するのが難しかった」。部長の3年西田美野里さん(17)は「防災に関心があまりない人でも、遊びながら自然と防災を考えられるような身近なゲームになればうれしい」と話している。 同ゲームは4~6人で遊べるようになっており、カード版とアプリ版がある。アプリ版はQRコードから使える。22日に一橋大学(東京)である「第3回高専防災減災コンテスト」の最終審査にも進んでおり、当日はメンバーがプレゼンする予定。