“おなかに優しい”と話題 A2ミルクが酪農を救う!?【WBS】
経営不振などを理由に酪農家の廃業が相次ぐ中、いま消費拡大の一手として期待されているのが「A2ミルク」の商品です。牛乳が苦手だという人からも人気を集めているその秘密を取材しました。 関東に147店舗を展開するスーパーのオーケー。そのオーケーが8月に全店舗で売り出した牛乳があります。パッケージには「A2」の文字。値段は251円と、大手メーカーとほぼ同じ価格帯ですが、次々と客が手に取っていきます。 「売り上げが想定の2倍ほど伸びていて、客の認知は広がっていると考えている」(「オーケー」食品本部バイヤーの遠田雄大さん) このA2ミルク。普通の牛乳と何が違うのでしょうか? 客に聞いてみると「以前は牛乳を飲んでおなかを壊したこともあった。今まで牛乳を飲めなかったけれど、この牛乳は体にフィットしている」とおなかに優しいので、牛乳が苦手な人でも飲みやすいというのです。 北海道・別海町。オーケーで販売するA2ミルクを生産しているのが「別海ミルクワールド」の中山貞幸社長です。 「ここはA2の牛だけ飼っている牛舎」(中山さん) 見た目は普通のホルスタインですが、A2の牛は何が違うのでしょうか? 「A2という遺伝子を持った牛たち。人間のお母さんに近いのがA2の牛乳といわれている」(中山さん)
牛乳に含まれるタンパク質の一つ、ベータカゼイン。実は牛の遺伝子の違いでベータカゼインにA1型とA2型が存在します。研究によると、乳牛のおよそ6割はA1型と推計されていますが、A2型の牛から搾った牛乳は人の母乳に近いのでおなかに優しいと言われているのです。 中山さんはA2型を持つ乳牛を遺伝子検査で選別し、現在467頭を飼育しています。 「まだA2ミルクは出回っていないので、酪農家にとって付加価値もあり、収入面でもプラスになる」(中山さん) A2ミルクに注目した企業が、大手化学メーカーのカネカです。3年前、北海道で酪農会社を設立。現在A2型の乳牛を70頭飼育しています。与えているエサは有機栽培した牧草やトウモロコシです。 「オーガニックのルールに従って飼っている。A2かつオーガニックというのがここの特徴」(「カネカ」の久多里俊輔さん) こだわりの生乳を使い、3月から製造販売を始めたのがA2オーガニックヨーグルトです。 「A2を『ネクストトレンド』と思っているので、オーガニックとともに大きな市場になっていくと考えている」(中山さん) コロナ禍以降、牛乳の消費低迷やエサ代の高騰などで、酪農家の戸数は減少が続いています。A2ミルクによって牛乳が飲めなかった人が飲めるようになれば、市場拡大につながる可能性があるのです。