「温泉に来たみたい」記録的な猛暑で瀬戸内海の海の中は 海水温も上昇 海の環境に変化は
近年の海中の環境や生態の変化の原因は、夏の高い水温以上に、地球温暖化による影響が大きいともいわれています。 広島大学 統合生命科学研究科 坂井陽一 教授 「夏場や秋口に南の魚が一時的に入り込んだりするのはよくあること。問題は、実は冬なんです。(地球温暖化によって)冬場の水温が上がることによって、今まで冬越しができなかった魚たちが広島湾・安芸灘で生存ができるようになり、その魚たちが繁殖活動まで行うようになると、古くから存在していた冷たい水を好む魚たちが人知れず消えてしまう」 ■環境の変化を受け入れチャンスととらえることも大事 環境省によりますと、瀬戸内海の年間の海水温の平均はおよそ40年前に比べ1℃以上、あがっています。 坂井教授は、地球温暖化をマイナスととらえるだけではなく、プラスにも変えることができるのではないかと話します。 広島大学 統合生命科学研究科 坂井陽一 教授 「温暖化をこれ以上のペースで進めないようにする努力は当然行われるべきです。ただし、それを行ったとしても、この温暖化は止めることはできない。環境の変化を受け入れて、その中でしたたかに海と一緒に人間が生きていくためにどういうことができるか。ハタ類(クエ・マハタ)がおそらく増えてくるだろうと予想されます。新しい水産資源として利用するような、ある意味、チャンスにとらえて積極的に考えていくというアプローチが大事になるかなと思います」 瀬戸内海の南部・愛媛県では、30年前から高級魚であるクエ・マハタを養殖しています。水温が高い海水による養殖で、魚の早い成長が見込めるとしています。瀬戸内海の水温は今月末から冬にむけて徐々に下がりはじめます。 ◇ ◇ ◇ 青山高治 キャスター 坂井教授の話では、海の環境の変化は研究者よりも漁業関係者や釣りや遊びなどで海にいく人が発見することが多いそうです。例えば、海水浴や釣りなどで見たことのない生物を発見した場合は写真だけでも撮っておくといいそうです。誰もが環境の変化に敏感になることが大切ですね。
中国放送