TRDの試作パーツを組み込んだトヨタ「86」に試乗!「14R-60」を参考に剛性バランスをアップさせた驚きの走りとは?【デモカー試乗】
足まわりの性能が高くなりすぎてエンジンパワー不足を感じるほど
今回はモビリティリゾートもてぎ南コースにて試乗を行った。タイヤは235/40R18サイズのPOTENZA RE-71RSを前後に履く。エンジン関係は基本的にノーマル。サスペンションは86ワンメイクレース向けのTRD製が装着されている。 エンジンを掛けてクラッチをミートして最初に感じるのが、メタルクラッチディスクの扱いやすさ。いわゆるメタルクラッチ的なピーキーさはほとんどなく、自然と発進できる。加速からブレーキングに入っていくと、その安心感の高さを感じる。コーナリングに移っていくと気持ちよく曲がっていく度合いがノーマルの86よりも明らかに高い。 コーナー立ち上がりでアクセルを踏むと、ノーマルの86ならばもうテールスライドが起きるか、というくらいの状況でもトラクション性能が高くグイグイ加速してくれる。このあたりはサスペンションアームとメンバーの剛性アップの効果によって、トラクション性能が高まっていると考えられる。 足まわりの性能が高くなりすぎて、エンジンパワー不足を感じるほどで、それだけタイヤのグリップを引き出せている。駆動系、マウント系、サスペンションアームなどバランス良く鍛えた結果だ。
CVT仕様のヤリスに対応した機械式LSDが驚きの効果
一方TRDのトヨタ「ヤリス」デモカーは1.5L NAエンジン仕様。ワンメイクレースなどが行われているクルマのベース車両でミッションはCVTとなっている。現在はヤリスカップにCVTクラスがあり、CVT車も参戦可能だが、MT車/CVT車ともにディファレンシャルは純正オープン状態での参加が義務つけられている。 ところがこのヤリスはGRの機械式LSDを装着。これまで難しいと言われてきたCVT車に対応したLSDで、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジではすでに使われているものだ。LSDが使用できるのはラリーチャレンジだけで、ヤリスカップでは使用不可だが、今回クローズドコースで試乗することができた。 やはりタイトコーナーの立ち上がりでアクセルを大きく踏むとイン側タイヤが空転してしまうのが通常のヤリスだが、LSD装着のTRDヤリスではそれが一切ない。しっかりとフロントタイヤがグイグイと前に引っ張っていってくれる。しかし、減速側も作動しているので、アクセルを離した瞬間にイン側に向きを変えるような大きな挙動変化は起きない。スムーズにコーナリングを楽しむことができるのだ。 現在はレースでは使えないものの、LSD入りCVT車とLSDなしMT車の混走レースでもいいのでは!? と思わせるほどの仕上がりの良さを感じた。
加茂 新(KAMO Arata)
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