キレやすいおじさんに共通する特徴があった…! 相手を「許せない」のはなぜか
もともと生物学で使われる用語だった
性別や年齢によって反応閾値に差はあるのだろうか。また、個人の反応閾値はどのように決まるのだろうか。 そこで、ここからは北海道大学大学院准教授・進化生物学者の長谷川英祐氏に解説していただく。(以下「」内は、長谷川氏のコメント) 「反応閾値という言葉は生物学で使われている用語で、アリなどの生態研究の際に用いることの多い言葉です。生物学的にいう反応閾値の意味は、ある仕事が出現して、その仕事を処理してくれという刺激を出し、それに対して個体が仕事を始める刺激の強さのこと、その個体が反応するかしないかという限界のことを閾値と言います。 アリは閾値の違いによってずっと働き続けているアリもいれば、滅多に働かないアリもいます。そして、働き続けるアリの8割は過労死してしまい、働かないアリと比べて早く死んでしまうということが研究でわかっています。ただ、働きアリが働かないアリに不満を持つだとか嫌だとかいう感情は全く含まれていないので、これが人間とアリの反応閾値で大きく違う点でしょう」
経験や育ってきた環境に左右される
では人間の個人の反応閾値の差についても教えていただこう。 「まず、男性だから、女性だからといった性別による反応閾値の差はないと思います。遺伝的に決まっている部分もあるかもしれませんが、個人の反応閾値は、その人の経験や育ってきた環境に大きく左右されているようです。例えば、一般的に女性のほうが子供の頃から『女の子なんだから整理整頓してきれいにしなさい』などと、注意されるといった傾向があるでしょう。それも元来の性別の問題というよりも、『女性だからこうすべき』というような育てられ方をした経験によるものが大きいというわけです。 また、育ってきた環境という意味では、年代によって反応閾値の差はかなりあるでしょう。その時代時代で一般的な価値観や常識なども少しずつ異なりますからね。また、歳を取っていって自分が組織のなかで恵まれていないと感じる人は、他人に対する閾値が下がり、相手に対する許容範囲が非常に狭くなる傾向があるのではないでしょうか。自分の境遇に不満を持っている人は対人関係の閾値が低くなりがちということです。この“歳を重ねるにつれて反応閾値が低くなる”という現象は、男性に多いと感じます」