CAT債の投資家、多額損失を警戒-米国に大型ハリケーン連続襲来で
(ブルームバーグ): カタストロフィー(CAT)債の投資家は多額の損失に身構えている。米国ではハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」の被害が重なり、ここ数年では見られなかった規模の支払い条項が発動される可能性が高まっている。
ヘリーンが米国の十数の州に深刻な洪水被害をもたらしてから2週間後、フロリダ州はミルトンの影響に備えている。ミルトンは8日時点で、再び5段階で最上位の「カテゴリー5」に勢力を強めた。10日早朝に上陸し、高潮が陸に押し寄せると見込まれている。人口密集都市のタンパの住人を含め、既に数百万人が海岸線地帯から避難している。
イコサ・インベストメンツの創業者で最高経営責任者(CEO)のフロリアン・シュタイガー氏はインタビューで、ミルトンが勢力を弱めてカテゴリー4のハリケーンとしてタンパ都市圏を直撃したとしても、「史上最大級の再保険損失事象につながる可能性がある」と述べた。
同氏によると、こうしたシナリオが現実となった場合、2022年のハリケーン「イアン」の被害を上回る可能性があるという。イアンの影響を受け、22年9月にスイス再保険のCAT債指数は当初10%下落し、CAT債のポートフォリオに衝撃が走った。これを受け、保険会社が一段と資本市場へのリスク移転を進め、CAT債発行ブームに拍車がかかった。
スイスの資産運用会社トゥエルブ・キャピタルのCAT債ポートフォリオ運用責任者、ターニャ・ロッシュ氏は、ミルトンが大型ハリケーンの状態でタンパを直撃した場合、CAT債の損失は「イアンよりも大きくなる」と予想。同社の50億ドル(約7410億円)のポートフォリオのうち、CAT債が38億ドルを占める。
原題:Catastrophe Bond Investors Brace for Big Losses on US Storms (1) (抜粋)
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Gautam Naik