<東京都知事選>立候補者の1日ルポ ── 小池百合子候補(後編)
演説先6番目のJR新秋津駅前、7番目の西武清瀬駅前、8番目の西武東久留米駅前での街頭演説をこなしていったが、いずれの場所でも時間が許す限り、小池氏は聴衆とのスキンシップを欠かさなかった。 9番目の陸上自衛隊練馬駐屯地正門前にやってくると、浴衣姿の女性や私服姿の人々が同駐屯地に続々と入場している光景が目に入った。正門の上の横断幕をみると「練馬駐屯地納涼祭」と記載されている。外部の人間が多数集まるお祭りの日を狙って街頭演説の場所に設定したのだろう。 正門前での街頭演説は、渋滞のためか、開始時間が遅れたあげく小池氏本人の演説が他会場より少々短くなった。演説開始前、「今、都知事立候補者の演説を一通り聞いているところ」と言っていた中野区在住の男性会社員(46)に、小池氏の印象を聞くと「演説はまだ聞いたことがないが、自ら立候補して迫力を感じる」と好感度が高かったが、終了後に感想を聞くと「あっけなかった」と落胆していた。
浴衣姿で正門前付近に立ち止まっていた女性に話しかけると、「小池さんの街頭演説と納涼祭の両方を目当てに来ました」という。小池氏の演説終了後、知人と納涼祭を楽しむ予定と笑顔を見せた。 この後、小池氏は、豊島区内で経済的に苦しい家庭の子供に2週間に1度食事を提供する子ども食堂「ほんちょこ食堂」を視察。「こうした地域の活動をバックアップするのが都の役割だと思う」として都知事就任後は支援に取り組む方針を示した。 最後のJR十条駅前での街頭演説になると、空はすっかり暗くなっていた。この日、終始つきそった自民党の若狭勝衆議院議員は、応援演説の最中、石原慎太郎・元東京都知事が「大年増の厚化粧」などと小池氏を揶揄するような発言を行ったとして、言葉を一時詰まらせる一幕も。これに対し、小池氏は「われわれはそういうのは慣れている。だからこそ都知事選に皆さんの一票で当選して、聞き分けがいい女が使い勝手が良い、とは絶対に思わせない」などと訴えた。 「原点に戻って頑張ってまいります」として、演説を終えた小池氏に対し、聴衆から『百合子コール』が起こる。街宣車を降りた小池氏は、駆け寄ってきた聴衆と言葉や握手を交わしつつ、車に乗り込んで去っていった。