予想通りとなった7月全国CPI:基調的な物価上昇率、サービス価格上昇率の下振れで、日銀は早期追加利上げに慎重か
2%の物価目標達成は見えてこない
全国消費者物価にみるコアCPIは、7月に前年比+2.7%でピークを打ち、10月、11月には1%台に低下することが見込まれる。電気・ガス料金の補助金が終了することで、12月には再び2%台に戻るだろうが、その後は緩やかな低下傾向を辿り、2026年には1%を下回る水準まで低下すると予想する(図表2)。 基調的な物価動向を示す「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」の前年比上昇率も明確な低下傾向を辿っていることから、日本銀行が期待する賃金と物価の好循環、2%の物価目標達成は依然として難しい。 ただし、物価安定の状態が2%をかなり下回るとしても、現在の0%近傍の政策金利は低すぎることから、2%の物価目標達成如何に関わらず、日本銀行は、しばらく追加利上げを進めることになるだろう。 日本銀行は7月末の決定会合で追加利上げを決めたが、その直後に急速な円高、株安が進んだことから、次の追加利上げにはやや慎重にならざるを得ないのではないか。また、基調的な物価上昇率が高まらないことも、早期の追加利上げには慎重な要因となる。日本銀行の次の追加利上げの時期は2025年1月、と現時点では見ておきたい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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