【北九州記念】「これだけ速いペースで…」鞍上で感じたピューロマジックの〝凄さ〟を松山が語る!
[GⅢ北九州記念=2024年6月30日(日曜)3歳上、小倉競馬場・芝1200メートル] 30日、小倉競馬場で行われたサマースプリントシリーズ第2戦のGⅢ第59回北九州記念(3歳上、芝1200メートル)は3番人気のピューロマジック(牝3・安田)が好スタートから主導権を奪って後続の追撃を寄せ付けず逃げ切り勝ちを決めた。勝ち時計は1分07秒9(稍重)。3月に定年した父・安田隆行厩舎から子息の安田翔伍厩舎へと転厩し、これで葵Sに続いて重賞を連勝。〝短距離王国〟のDNAを引き継ぐ若きトレーナーの下でどんな飛躍を遂げていくのか? レースを検証しながらピューロマジックの今後の可能性を探った。 主導権争いが注目されたが、昨年の覇者ジャスパークローネが出遅れて、日本レコードホルダーのテイエムスパーダは行き脚がつかず…。ピューロマジックが労せず初速の違いでスッと2馬身のリードを奪う。あとは自分のリズムを守っての先行だったが、前半3ハロンで刻んだラップは32秒3。稍重馬場ではかなりハイペースだったが、それはあくまで数字上の話。鞍上の松山の〝感覚〟はそうではなかった。 「ハイペースだったけど、(手綱を)抱えながらで速いとは思わないくらい。これだけ速いペースで抱えられるのはすごい。性格が難しいところがあるけど、うまく厩舎が仕上げてくださっています」。トップスピードに入っている中でも制御が利いて直線でもうひと踏ん張りができるのが同馬の最大の魅力、と話す。
「短距離王国」偉大な先輩に続くか
「初めての前日輸送でしたが、環境の変化にエキサイトすることなく上手に過ごせていました。道中で抱えた分、どこかで動ける度合が増していけばと思うし、レース前の消耗を減らしていきたい」と安田調教師は今後の課題を見据えつつ、さらに上のステージで戦えるように対策を講じていく構えだ。 最大目標はスプリンターズS(9月29日=中山芝外1200メートル)。重賞連勝で近年のトレンドなら直行も選択肢に入るが、前哨戦は挟むことになりそうだ。なぜなら待避所からゲート裏へ向かうまでにテンションが上がるなど気性面のリスクも秘めるため、実戦で経験を積みながら不安材料を減らしていくことも考えているからだ。父・安田隆行厩舎では助手としてロードカナロア、カレンチャンなどの調教に携わって短距離王国を支えた翔伍調教師だが、トレーナーとしてもダービーをダノンデサイルで制するなど、その経験値、そして手腕を遺憾なく発揮している。若き指揮官の導きによりピューロの持ち味をさらに伸ばすことができれば…ロードカナロア、カレンチャンのような偉大なスプリンターへと成長を遂げるかもしれない。
難波田 忠雄