「『もう愛情なんか』『別れてやる』と言うご夫婦が…」 全国初の入棺カフェで起こる「愛の可視化」とは
終活が一般的になっても、自らの死と向き合うことに躊躇する人は少なくありません。そうしたなか、独自性ある和モダンの葬儀会館などで業界内外から注目を集める葬儀社かじや本店が、全国初の「入棺カフェ」を9月にオープン。新たな取り組みを始めた理由など、代表取締役の平野清隆さんと、同カフェに設置したファッション性の高い棺を制作したクリエイターの布施美佳子さんに、お話を伺いました。 【写真】日本初の入棺カフェ 「愛の可視化」が起きるという2人用の棺も 実際の様子 ◇ ◇ ◇
きっかけは「『カフェを経営しています』って言えたら、かっこいい(笑)」
千葉県富津市で「家族が集う別邸」をコンセプトにした和モダンの葬儀場や、特許を出願中の素焼きメッセージ骨壺「襷(たすき)」といった、通常の葬儀社とは一線を画す葬儀社かじや本店を営む平野さん。 ファッション性の高い棺で、ラフォーレ原宿をはじめ、多くのファッションビルでポップアップショップを展開し、最近多くのメディアに取り上げられている棺作家の布施さんを知ったのは、2年ほど前に掲載された記事がきっかけでした。 記事の内容は、布施さんが語った自分らしく最期のお別れをするために考えるべきことや、入棺体験によって得る人が多いポジティブな変化などについて。 「友人から記事を教えてもらい、すぐに布施さんに連絡をしてアトリエに会いに行きました。おもしろい人がいるなって、いずれ何か一緒にやりましょうと話していたんです」 布施さんもGRAVE TOKYOのブランドで、デザイン性の高い「インテリアになじむ骨壺」を手がけていた共通点もあるなか、なぜ入棺カフェを始めたのでしょう。平野さんは、本社スペースが空いていたことが理由のひとつだとしつつ、持ち前の明るい笑顔で意外なことを語り出します。 「いつも職業を聞かれて『葬儀屋です』って答えるんですけど、もっとかっこいい肩書きを言いたいなって。それで『カフェを経営しています』って言えたら、かっこいいと思ったんです(笑)。葬儀社らしいカフェって考えたとき、入棺カフェのアイデアが生まれました」